第4話

📖 第四章「廊下のすれ違い」


カクヨム用キャッチコピー


「すれ違うたびに、本当の気持ちは近づいている。」



外面(ラノベ調:廊下のやりとり)


 放課後の廊下は、人でごった返していた。

 聡が教科書を抱えて歩いていると、前方で美鈴がクラスメイトに呼び止められている。


 「ねえ美鈴、ノート貸して!」

 「うん、いいよ」

 笑顔で差し出す美鈴。その瞬間、誰かがからかうように言った。


 「聡くんに勉強教えてもらってるんでしょ?仲いいねー!」

 「……!」

 美鈴の頬が赤くなった。

 その表情に、別の男子が茶化すように囁く。

 「助けてもらわなきゃ点数落ちちゃうもんな〜」


 聡は思わず一歩踏み出した。

 「やめろよ!」

 声は強かったが、人工内耳に響くざわめきが、彼の心をぐらつかせた。



内面(純文学調:聡の独白)


 「助けたいのに。

  でも、助けられるだけじゃ、彼女は余計に傷つくのかもしれない。

  僕はただの“かわいそうな存在”で終わってしまう。

  守りたいのに、守れない。

  彼女と同じ目線で立つことが、どうしてこんなに難しいんだろう。」



外面(ラノベ調:すれ違い)


 美鈴は小さな声で「大丈夫」とつぶやき、聡の横をすり抜けて歩いていった。

 その表情は笑っているようにも、泣いているようにも見えた。


 遼が遅れてやってきて、肩をすくめる。

 「お前ら、すれ違いの天才だな」

 「……放っといてくれ」

 聡はそう答えたが、心の中はざわめきでいっぱいだった。



内面(純文学調:美鈴の独白)


 「彼が守ろうとしてくれたことは、わかってる。

  でも、それを素直に受け取ることが、どうしてこんなに苦しいんだろう。

  私は守られるだけの存在じゃない。

  隣に並びたいのに、歩幅が合わない。

  すれ違うたびに、胸が痛む。」


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