シミュレーションゲームの“歴史”と“好き”を語ってみる
GYAK
第1話 「ボードゲーム編」
序
まず紙幅の都合でシミュレーションウォーゲームに限る事をご容赦願いたい。今日では街づくりや育成、経営シミュレーションまで多様だが、かつてシミュレーションゲーム=ウォーゲームという時代が確かにあった。
「A列車で行こう」「シムシティ」といったミニスケープゲーム。「ダービースタリオン」「プリンセスメーカー」など育成ゲームを外すのは心苦しいが、6000文字で語り尽くせる訳も無いので割愛する。ボードゲームは今や忘れられた文化であり、自分史を交えた老人の繰り言に近い。興味の無い方は左下の応援を押すだけ押して読み飛ばし、第2話「PCゲーム」から読まれる事をお薦めする。
起源
広義には将棋やチェスもウォーゲームだが、狭義にはプロイセン参謀本部の兵棋演習クリークシュピールが源流だろう。太平洋戦争直前、無理な兵棋演習とその結果で開戦に踏み切った事はまた別の話である。
SF界の巨匠H.G.ウェルズが兵隊玩具を用いたミニチュアウォーゲームのルールブックを作った例もあるが、近代的なボードウォーゲームを確立したのはチャールズ・S・ロバーツと彼の「タクテクス」である。
後にアバロンヒル社を興し、ZOCやCRT、マストアタックなど多くの基本概念を提示した。説明は割愛するが興味を持たれた向きは、自身で検索して欲しい。
特筆すべきは戦場を升目で区切り、その地形がもたらす移動や戦闘に対する影響をゲームに組み込んだ事と、その区切り「ヘクス」である。初期は四角升だったが、アバロンヒルクラシック作品群では六角形が採用された。六角形は距離の偏りが少なく、平面充填の効率も高い。このため「ヘクスを採用しなければシミュレーションにあらず」とすら言われ、実際の国境線でエリアを区切る「ディプロマシー」のような傑作でさえ、一段見劣りした扱いを受けた時期もあった。
日本での展開
日本でのボードウォーゲーム隆盛に移ろう。70年代に木谷通商社がアバロンヒルを輸入したが、抄訳のみで本格的には英文ルール頼み。学生には敷居が高かった。
80年代に入り、ホビージャパン社が代理権を得て完訳を謳い、81年に隔月刊専門誌「タクテクス」を創刊。輸入と国産が入り混じり、一気に戦国時代となった。以下、各社の特色を簡単に挙げる(社名は当時表記のまま)
SPI:70年代にアバロンヒルと覇を競った米国メーカー。アートボックスに納められたパッケージングでウォーゲームのデザインを一新し、「第二次欧州大戦」を始めとした当時の価格で2万円にもなるビッゲーム群は少年達の憧れに。しかし82年に倒産。
GDW:米ゲーム界「第3の波」。シミュレーションゲームとロールプレイングゲームの垣根を越える創作が持ち味で、宇宙RPGの傑作「トラベラー」と同一の世界線上のウォーゲームなどを展開した。
バンダイ:「ifシリーズ」など。プラ台に厚紙駒を刺し、兵棋演習を彷彿させる「参棒」など美麗なコンポーネントが特徴。昇り旗に見える「関ヶ原」や、艦列に見える「日本海海戦」は映えたが、後に思うと先進的だったカード導入など、ゲーム性寄りの戦闘判定は精密性を重んじる当時の風潮に合わず不評だった。
エポック:「ワールドウォーゲームシリーズ」。シミュレーション性と遊びやすさのバランスが高評価で、対戦して最も楽しいと評された。「戦国大名」で日本初のマルチプレイも導入。
別ライン「エレクトロニクスウォーゲーム」シリーズはLED付きで光る戦闘判定が売り。盤面が小さく展開に限りがあり、子ども騙しとも評されたが、CM展開もあって入門用として機能した。
ツクダ:サンライズ作品の版権を得てガンダム、イデオン、ダンバイン等のロボット物のゲーム化を実現。アニメ中に流れるCMで女子が男子に一緒に遊んであげるなどの表現があったが、実際には女子プレイヤーはほぼ皆無だった……。
別ラインの「タンクコンバットシリーズ」は砲塔旋回速度まで再現する細密設計ながら扱いづらく、ほぼコレクター向け。
ホビージャパン:「タクテクス」を抱える本家だが、翻訳作品を除きパッケージゲーム群は地味。ただし誌面付録のミニゲームは累計で最も多く遊ばれた。85年に隔月刊から月刊化された辺りがボードウォーゲームの最盛期であろう。同時期にTRPGも導入され、後にウォーゲームを超えていく。
アドテクノス:当初は書店売りの「シミュレーションゲームブック」からスタート。85年の「レッドサンブラッククロス」は日独がインパールからエルアラメインの間で戦火を交えるという、架空戦記設定でマニアを熱狂させ、翌年の荒巻義雄氏「ニセコ戦記」と並びジャンル確立に繋がった。
その後はPCゲームやTRPGへと流れが移っていくこととなる。予定文字数を既に超過しているが、ようやく次回「PCゲーム編」に進める。
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