1-9 - 支えてくれる『仲間』

「いい仲間を得たな」


「……うんっ……」


 ――クリスタルラインは死の淵をギリギリで渡りながら、夢を見ていた。

 いや、夢ではないのかもしれない。


 彼女は温かな日差しを受ける一面の芝生にて、とある青年に抱き着き、泣きじゃくっていた。


「迷惑かけちゃって、ごめんなさい……」


「いい。俺は、お前が楽しければそれで構わん」


 その男の名はゴール:ド:コースト――『検閲官さん』の、真実の名である。


 悪魔を思わせる、漆黒の異形の腕を持った青年だ。黒髪、そして色黒の肌。瞳だけはコーストの高貴で孤高の魂を示すような黄金に輝いている。


「ううっ……」


 コーストは現在、クリスタルラインの肉体へ封じ込められた状態だ。検閲官としての権能はほとんど失っていないが、自らの義体で現世へ顕現することに著しく支障が生ずる。だから先ほどロイの前に出現した時も、力の消費を抑えられるようにクリスタルラインと同様の姿を取って現れた。


「だが、甘えてばかりでは何も始まらない」


「ん……」


「次は、お前があの少年を助けてみろ。因果応報――善因善果だ、そうだろう?」


「……うん……!」


 クリスタルラインは涙をぬぐい、確固たる意志を秘めたまなざしでコーストを見上げた。

 その眼は、これまでとは打って変わり、ロイにも負けない強い光を灯しているのだった――!

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