進化する俺様シリーズの前にはどんな女子だってラブ・ドッキュン♪
光影
プロローグ チュートリアル
第1話 福永蓮見のNew Game
『恋愛マスター』
世界中で大ヒット中の恋愛ゲーム。
発売前から告知に力が入っていた。
その開発メーカーは『YOUR FANTASY MEMORY』というVRMMOゲームを2027年1月24日に販売し世界を代表するゲームメーカーとなった。
そのゲームが一躍有名になったのにはちゃんとひた理由がある。
某初心者プレイヤーがそのゲームに参戦したからだ。
その男は頭のネジが一本外れたような発想と度胸で数々の強敵プレイヤーを倒して周りにいつも感動と笑いを与えてくれた。
そして男は数々の異名で呼ばれた。
もし彼を一言で表すなら――『神災』。
それを見た恋愛の神様は、
「ちょっと彼をワシにも貸してはくれんかのぉ?」
と、彼を気に入っている違う神様に声をかけてみた。
すると、
「好きにしろ。くそじじい」
と眠そうな声で了承した。
その頃、蓮見は隣の家に住む幼馴染――佐藤美紀が海外でプロゲーマーとなるため旅立った時期でもあった。
「引越した家の隣に偶然小学生の時に疎遠になった幼馴染が住んでいて、それでなんとなく始めた『YOUR FANTASY MEMORY』だったが、結構楽しかったな。でもアイツはもう近くにはいないんだよな……」
二階の自室から隣の家を見れば電気のついていない幼馴染の部屋が見える。
「好きになった美紀の為に頑張っていたゲーム。その裏で恋愛の勉強になればと思い、コソっと先日買っておいた『恋愛マスター』……買った意味なくなったな……」
手を伸ばせば届きそうな距離だっただけに、未練が残る。
でも離れ離れになったショックで今は手に持つゲームをする気にはなれない。
そんなわけで部屋の電気を消して、眠りにつく。
「あれ? 俺寝なかったけ?」
たしかに寝たはず。
なら夢か?
首を傾けるも答えはすぐにでない。
意識だけがハッキリとしている。
だけどなぜか目の前には大きな建物が見えている。
「なんだこれ?」
蓮見の視界には。
『
ようこそ!
『恋愛マスターワールド』
メニュー
・New Game
・Continuation
・オプション
』
と書かれたメッセージウインドウが出現した。
アバターは正に自分自身……体の感覚もしっかりとある。
寝た記憶がなれけば、現実と勘違いしていたかもしれない。
「う~ん」
しばらく考えてみるがなぜこのような状況になっているか検討すら付かない。
無理やり理由をつけるなら、枕下に『恋愛マスター』を入れて寝たことくらい。
『少年ワシは恋愛の神様じゃ。少しゲームで遊ばないか?』
「遊ばない」
『遊ばない?』
「遊ばない」
『本当に?』
「遊ばない」
無限ループ。
『マジで?』
「遊ばない」
両者折れない。
『少しだけでも遊ばないか?』
「はぁ~。今はそんな気分じゃないんだ。悪いな爺さん」
蓮見が周囲に視線を飛ばすが、近くには誰もいない。
なら幻聴か? そう考えるが目の前の光景はまるでゲームのタイトル画面。
『ならこうしよう。お主がワシの世界でミッションをクリアしてくれたら、佐藤美紀との恋縁をお主が住む世界で作ってやっても良いぞ』
「でもこれ夢だろ?」
『ここは世界と世界を繋ぐ空間じゃよ。神を信仰しない人間からしたらワシの存在は怪奇現象でしかない。まぁ幽霊でも良い。お主が好きなように思ってくれれば。それで神であり幽霊と言えるワシからの挑戦受けてみないか?』
息を呑み込んだ。
恋縁? そんなの今はどうでもいい。
蓮見は幽霊が大の苦手である。
それは生まれた時から今に至るまで……ずっと嫌いだ。急に背筋に寒気がしてきた。それに息苦しくもなった。自分でもわかる。鳥肌が立った。発狂したい気持ちをグッと堪える。気を抜けば失禁しそうなぐらい足が震え始める。
そんなわけで幽霊かもしれない者と一秒でも早く会話を終わらせたい蓮見は、
「……わかった! する!」
叫ぶように返事をする。
『本当に遊ぶんじゃな?』
「遊ぶって言ってんだろうがクソジジイ!」
『そうか! そうか! 元気が良くなったのぉ!』
宙に出てきたメッセージウインドウを見る。
『では、エンディングで待っておるぞ少年。ノーマルエンディング条件は『称号:恋愛マスター』を手に入れた状態で特定の女子攻略じゃ。しかしこのゲームは初心者には難しい。今度はそんな恋愛ゲームで初心者プレイヤーの可能性を見せてくれ。その対価としてゲーム滞在時間はお主の眠り時間と連動するように時間調整しておくから、そこは安心してゲームに挑んでくれると嬉しいぞ。ではさらばじゃ! ほほほほぉ~、ヤッホぉーイぃぃ!!』
New Gameを選ぶ。
初期設定画面が開くので、
名前:紅
性別:男
プレイヤーレベル:Lv.1
称号:初心者
簡単な初期設定が終わると、どこか違う世界に飛ばされた。
次に意識が戻ると、見知らぬ学生服を着ていて目の前にはさっきタイトル画面で見ていた建物があった。
まずは確認だ。
視界の左上にはプレイヤー名とレベルが表示されている。
そのすぐ下には称号が表示されている。
指で適当な所をスワイプするとウインドウが出現する。
「えっと……アイテムは」
開発会社が同じということで『YOUR FANTASY MEMORY』とどこか似ている操作性なのは助かる。
だが、生まれて一度も恋愛ゲームをしたことがない男はまずは慎重に行動する。
「ふむふむ。アイテムも幾つかあるのか……なんだこの購入者特典アイテム?」
アイテム説明欄を読んでもいまいちピンッとこない。
「なんだ……手榴弾や発火剤はないのか……。それなら幾つかあるけど今は使わないだろうしどうでもいいや」
まだアイテムの意味がいまいちわからないので今は無視することにした。
周りを見渡すと、鼻歌を歌う生徒や読書をしながら登校する生徒たちが居た。
「さて……これからなにをすればいいのだろうか……」
『YOUR FANTASY MEMORY』なら常に携帯している手榴弾をとりあえず投げてみる所だが残念ながら殺傷系のアイテムを今は持っていない。
早速困り悩む紅が適当に歩いているとメッセージが届く。
『なるほど、まずは自分の教室に行くんだな』
案内に従い、指定された教室に向かう。
その途中でせっかくゲームをするなら楽しだもん勝ちと気持ちを切り替えて「俺のハーレム計画開始」とやる気スイッチオンにした。
ーーーーーーーーーーーー
後書き
本日は、
このあと10時、15時、20時に更新します。
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