永久の貴方に

へりお

初めて


とある夜の村外れ。

一人の少女、『ベルギア』が一本ぽつんと立っている木に向かって走っている。

それは桜の木で、春を伝えている。その周りに花がよく咲くこともあって美しい。


いつもと違う景色に思わず立ち止まる。

…今日はひとり先客がいるようだ。

ベルギアは不満気な顔で、

「独り占めしたかったのに」と不満をこぼす。

そもそも村の人ならここに来るはずがないのだ。(ベルギア以外)

なぜなら、みな此処を危険なところだと言っているから。


聞いた話によると、昔は村のシンボルで、みんなに季節の訪れを伝えてくれていたらしい。だがある日、三人の子供がこの木に向かったところ、突如可憐な雰囲気の長髪細身の男が現れ子供たちにトラウマをうえつけたと言う。


ベルギアは待った、と言い伝えを思い出す。


…あれ?

【可憐な雰囲気の長髪細身の男】?


先客をじっと見る。


綺麗な白の長髪…美しいラインの細身…

………あいつ、例の男では?


言い伝えによると、【トラウマ】を植え付けたそうではないか。

基本そういうのは信じない派のベルギアでもその本人が目の前にいる可能性があるという状況では、信じるしかなかろう。

引き返せ、と理性が叫んでいる。








(くっ、かってにあしが…!)


彼女の足はすごいスピードで坂を駆け、あっという間に木に辿り着いた。

そして、


「一目惚れしました!!付き合ってください!!」





…はあ?

男は勿論困惑している。というかドン引きしている。今にも全速力で逃げようとするレベルで。


「…あの……そもそもきみ誰ですか」


「あたしの名はベルギア。ベルでもギアでもベルギーでもマイハニーでも好きに呼んでください!」

「答えになってない…なんで急に告白なんて、多分年齢的に無理ですよ…あと初対面だし…」

「年齢の壁など関係ないんですよ!その髪、立ち姿、雰囲気全てに惹かれました!」

「気持ち悪っ…あと何歳なのさ」

「11才です」

「じゃあ無理だ。」

「多少の差ならみんな何も言いませんっ!」

「じゃあ無理だ。」

「いや、あなた見た目的に20歳丁度くらいでしょう!」

「246歳」

「ほーらそんな変わって…






もう一回言ってもらっていいですか?」


「…246歳」

「あの、冗談抜きで」

「246歳…」

「「……………………」」

「マジですか?」

「まじ」

「マジかぁ……」

「じゃ、そういうことだから。綺麗さっぱり諦めて、帰ってくれ。」


男はそうバッサリと切り捨て、帰ってもらおうとした。だが、ベルギアはそんな簡単に折れなかった。


「…いや!関係ないですね!年齢?周りの目線?全て無問題!あたしの『好き』にはそんな些細な障壁に阻まれない!よって!あたしはあなたを諦めない!いつかあたしの伴侶にしてやります!」

「…勝手にすれば」


こうしてベルギアの戦いがはじまったのであった。




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