ヒゲとメイドの冒険譚
シムCM
第1話 二人の出会い?
暗い一室。人の手によって作られたその部屋には窓もなく、ただ一つの装置が置かれていた。わずかに光と振動を放つ音が、それが稼働している事を教えてくれる。
「これが…これで…フムフム」
そこにいるのは一人の男だ。身長は小柄で130cm程度しかない。しかも、光のない闇の中で、手に持ったメモ帳を広げている。
男はドワーフという種族。
熟練の職人にして、頑強な戦士の種族。炎の神の加護を持ち、業火の中でも燃えない特徴を持つ。
赤く短い髪と。同じように赤い刈り込んだ顎鬚。身長は人間より低いくだががっしりとした体形だ。
ドワーフは洞窟などを好み、採掘や製造などを得意とする。それゆえに暗闇に適応し、光のない地下の奥底でも、持っているメモ帳を読むことが可能だ。
「これが、こうで…だから…」
ドワーフの男は何度もメモ帳を見ながらそう呟くと、ゆっくりと手を伸ばし、目の前に置かれた魔動機を慎重に操作する。
一つ操作してはメモ帳と見比べ、ゆっくりと、だが確実に操作は進んでいく。
そして、最後の操作を終える。
プシュー…
隙間から白い煙を吹きだすと、魔動機の一面がゆっくりと開く。
中にいたのは美しい女性だった。
淡く深い紫色のつややかな長い髪。シミ一つない滑らかな肌。切れ長い目がゆっくりと開くと赤い瞳がこちらを向く。
だが、人間とは違う。首や頭部には金属のパーツがついており、彼女が人ではないことを証明している。
ルーンフォーク。
前時代の魔動機文明時代に作られた人造人間。高い身体能力を持ち、主人と決めた相手に忠実な自動人形。
彼等は生命の倫理から外れ、ジェネレーターと呼ばれる生成機より生産される。
彼女も、そうしたルーンフォークなのだ。
彼女は体を持ち上げると、ゆっくりとジェネレーターから出て、小柄なドワーフを見下ろすように前に立つ。
誰もが目を見張る美しい女性は、ドワーフの男を前に立つと、まるで定められた儀式のように口を開く。
「貴様が私のご
「…」
神秘的ともいえるその姿に、だがドワーフの男は別段感動する様子もなく、顎鬚に手をやると、ようやく導き出した答えを口にした。
「なんで裸なんだ?変態か」
ルーンフォークの右足が、小柄なドワーフの顔面に突き刺さった。
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