第17話 体育祭当日
「もうすぐ、体育祭ですね!」
俺と愛鈴はグラウンドに集合して、体育祭が開始されるのをベンチに座りながら待っていた。
「ああ!」
今回の体育祭は、愛鈴もかなり気合が入っているようだった。
「それにしても、要くんがクラスであんなことを言うとは思いませんでしたよ?」
「あれは、勢いって言うか、その今のままの俺じゃ駄目だと思ってな」
俺は少し、小っ恥ずかしくなり目線を逸らしながら答えた。
「でも、あの時の要くん、カッコよかったですよ?」
「そ、そうか」
「要くん、教室であそこまでのことを言ったんですから、徒競走、優勝してくださいよ?」
「ああ、楽しみに待っていてくれ!」
「ええ、楽しみにしていますね!」
そう言うと愛鈴は穏やかな表情で、そっと笑った。
「愛鈴も頑張れよ!、騎馬戦、夜空と勝負してるんだろ?」
俺がそう言うと愛鈴は少しだけ機嫌悪そうに答えた。
「ええ、今回の騎馬戦!何がなんでも夜空さんにだけは負けませんよ」
愛鈴は、要に聞こえないくらいの声でぼそっと呟いた。
「よりにもよって、要くんとデートなんて、そんなのズルいです...... 」
「何か言ったか?」
「いえ、なんでも...... ありません!」
愛鈴は少し焦りながら誤魔化した。
「そういえば今日、夜空見てないな」
「言われて見れば今日まだ、見てないな」
いつもは学校に来てすぐに夜空が声をかけてくるのに今日は見てなかったので、俺は珍しいと思った。
「わっ!」
「うわっ!...... いつからいたんだよ?」
そんなことを考えていたら、後ろから夜空が、驚かせて来た。
「丁度今来たところだよ、二人は結構前からいたの?」
「ええ、20分程前から」
「そんな前から!そんなに私との勝負が楽しみだったの?ごめんね、もっと早く来てあげられなくて」
夜空が愛鈴を挑発して、愛鈴が、少し機嫌悪そうな顔をした。
「あんまり愛鈴のことをからかってやるな?、今のは夜空が悪いんだから謝ってやれ」
「ごめんね、愛鈴?怒らせちゃったかな?」
「いえ、別に気にしないでください、この恨みは必ず騎馬戦で晴らしますから、安心してください!」
愛鈴は完全に切れているようだった。
「そういえば、今日は喋りかけにくるのが普段に比べて随分遅かったが、何かあったのか?」
「ああ!それは、さっきまで同じチームの子たちに作戦を伝えてたから、それで普段に比べると少し話しかけるのが遅かっただけだよ?」
「夜空が作戦を立てるなんて意外だな?」
「今回は、考えなしに挑んで勝てる気がしなかったからね!、万全の準備で挑ませてもらうよ!」
夜空にそう言われると愛鈴は自信満々に答えた。
「良いでしょう、受けて立ちますよ!」
「あっ、そろそろ時間だ!、もうみんな自分の種目のところに向かった方が良いよ!」
「じゃあまたあとでね!」
「お昼休みの時にお会いしましょう!」
「ああ!また後でな!」
こうして俺たちはそれぞれ、自分の種目がある場所へと向かって行った。
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