神と聖女

水を得た魚

第1話 聖女

 人が寄りつかない森の奥深く。

そこに、神の声を人々に伝える聖女がいた。


 しかし、その聖女は神の声を何十年も人には伝えず、ずっと1人で奥深くの森に住んでいた。


 「神よ。我らをお助け下さい。声を聞かせてください」


 今日もその家から声が響く。

 

 声の主は美しく顔の整った美女だった。


 「よし、今日の仕事は終わり!」


 聖女は神に使えてる間は歳を取らない。

それゆえに常に美貌を保っていた。


 「今日は雨ですので、本を読みましょう」


そう言って、古びた本棚から一冊本を取り出した。


 (雨のざあざあという音が心地いいですね。

 雨が合唱をしているよう)


 彼女は天命と言って村の人から半ば強制的にこの仕事をやらされていた。

 そのため、彼女がこの仕事に対する熱量はほぼない。


 (みんな、神だ。神だ。って馬鹿みたい)


 何十年もお告げがないことから人々は、彼女は神に見捨てられたんだと言い、彼女のことを魔女と呼んだ。


 彼女の名はレディメード・メリス

 またの名を悪魔の使い。

 


 

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