第19話 厨二病フルバースト
■■■■ NOTICE ■■■■
※この話は「ウェブ小説霊安室」に保管された供養断片です。
本編化の予定はありません。
もし「まだ生きてる!」と思う方は――
「ささやき、えいしょう、いのり、ねんじろ」
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第1話:『裏設定と、ただの高校生』
星宮きらりの学園生活は、光と影のコントラストが際立っていた。陽の光が降り注ぐ廊下を歩く彼女は、どこからどう見ても普通の女子高生だ。だが、その心の内には、小学生の頃に偶然手にしたファンタジー小説が深く根付いていた。物語の壮大さに魅せられた彼女は、現実の平凡さへの小さな反発から、自分だけの「裏設定」や「技」を考案し、それを心から楽しむという、いじらしい厨二病をこじらせていた。
今日も今日とて、放課後の誰もいない教室で、きらりはひっそりと「儀式」に没頭していた。自作の漆黒のリボンを腕に巻きつけ、まるで世界を救う大魔女のように凛とした表情で、そっと裏名「リュミア・ノクターン」と呟き、華麗なポーズを決める。その姿は、本気で世界観に入り込んでいるようで、なんとも可愛らしい。
彼女が儀式を終え、教室を出ていくと、窓の外を通り過ぎる一つの影が、彼女の姿を静かに見つめていた。その影が誰であるかは明かされない。そこに、新しい風が吹いた。きらりのクラスに、最初の転校生、カイン(オブスクラ・クラディス所属)が人懐っこい笑顔を隠し持ちながら現れた。その笑顔の裏には、冷徹な諜報員の顔が隠されていた。彼は、リュミアの周囲で不自然な現象が頻発しているという、ある情報を掴んでいた。それは「古の鍵」と呼ばれるものと関連があるらしく、その原因が「古の鍵」にあると見て、きらりに接触を試みていた。
放課後、きらりがルンルン気分で廊下を歩いていると、突然足元がぐらつき、バランスを崩した。その拍子に、近くに置かれていた花瓶が大きく傾ぎ、床に落ちる寸前となる。
「わっ…!」
きらりの心臓が、ドクリと大きく跳ねた。ああ、お気に入りの花瓶なのに。床に落ちて割れてしまう――そう思った瞬間、どこからともなく優しい風が吹き、花瓶はゆっくりと彼女の足元に戻る。
「……え?今、何か変な感じが……でも、やっぱり私の闇の魔力かな! 私の力がついに覚醒したのね!」
わずかな違和感を覚えたものの、彼女の心はすぐに希望で満たされた。
その様子を、廊下の隅に隠れて一部始終を監視していたカインが目撃していた。彼のセンサーは、きらりの周囲から発せられた不可視の波動を捉えていた。そして彼の目には、花瓶が黒い霧に包まれ、まるで意思を持ったかのように宙で静止し、床に降り立ったように見えていた。
カインは震える手でタブレットに報告を打ち込む。
「対象少女、危機的状況下で潜在能力を発現。不可視の防御障壁により物体を静止・操作する能力を確認。これは、古の鍵の兆候であると判断される」
きらりは「ふふん、これも私の闇の魔力が…!」と得意げに頷き、暗黒ポエム帳に新たな「異変の記録」を書き加える。「我が闇の魔力、花瓶を宙に縛り、大地へと誘う……世界は我が手中に…!」と、誇らしげにペンを走らせる。
【診断結果】
まだプロットの調製が必要なため、心肺停止。
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