第9話 空き家に住んでいた妖精さんに論破される

アレクは街外れの崖の上の一軒家

3階建ての空き家を一年契約で借りたのだが

何かがおかしい!


寝て起きると小物の位置が変わっている


なんとなく髪や服を引っ張られた様な

気もする


砂糖や焼き菓子が漁られて

クッキーなど途中まで食われた形跡がある


ネズミか?!


猫でも飼おうかと思い始めて

夜中に寝たふりしていたら犯人が現れた!


小さな声で「出ていけー、いなくなれー」

必至にポカポカ叩いている!


手で払ったら壁に当たって墜落、

目を回している


コレは妖精ではないか?

これは瓶や籠に入れて捕まえて売るべきか?

ドライな発想をしそうになる


まぁ起きたら話ぐらい聞くか


果物入れのバスケットにクッションを入れて

妖精を寝かせて放置


紅茶を入れて焼き菓子を食べて待っていたら

妖精さんが起きだす!


きゃー人殺しー野蛮人

早く逃げなくては、と飛び回っているが

窓やドアは閉められている


「おい、お前落ち着け」

「話をしたいだけだ、用が済めば解放する」

「ただとは言わん紅茶と焼き菓子を準備した」


警戒しているので遠く離れたところに置く

「私を毒殺して標本にする気ね」


「いや、目を回しているうちに

生きたまま捕獲して売った方が

遥かに金になる」


「私は理不尽な目に遭っているのだが、

言い訳ぐらいは聞こうと思ってな」



諦めたのか焼き菓子を食い始めて

喉を詰まららて必至に紅茶を飲んでいる


「安い茶葉ですねぇ」

わかるのか??


「試しに何なら良いんだ?」

聞くと、

「アールグレイの赤竜の5番」


純粋な茶葉の味は楽しめるがしぶくないのか?

人に飼われていたのだろうか?


「この場所はお金を払って

1年借りたので私の家だ!」


「私なんか昔から住んでいる

先住民族なので住みたいなら私に対価を払え」


「だいたいここは私と爺さんの家だ!」

「爺さんとは?」

「300年ぐらい一緒にいた魔法使い」

「今は出かけている」


「いつ帰ってくる?」

「明日か100年後かわからん!」


勝手に空き家を見つけて

貸し出していたのか!


「お前が建てたわけではあるまい

お前を追い出して住んでも良いんだぞ!」


「なら霊峰ガンダーラ山脈の上空にある

古代魔法都市にエルフが住み着いている」

「勝手な理屈で奪い取ることをお前はできるのか?」


「理屈ではなく弱き物だから下に見て

奪い取る野蛮な考えだ!」


なんかすごい情報が飛び出てきたな!

空に浮かぶ魔法都市などあるのか

知らなかった!


小さいくせに理屈で語るんだな

コレはコレで嫌いじゃない!


「わかった譲歩しよう」


「私がいる時は1日に2回

お菓子を出そう!

それを対価に貸し出せ!」


「嫌なら追い出すか捕まえて売り飛ばす!」


「家のご主人と認めて私に危害を加えない、」

「可能な限り私を守る」


【それを約束するなら住まわせよう!】


まぁコレはコレで面白そうだからいいか

取引は成立した!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る