STORY 12   夢のフラッシュと、交わらなかった運命

//SE(夜の風:「スゥ…」と窓辺を撫でる。時計の針:「カチ…カチ…」と静かに時を刻む)


あれから……

長い月日が経った。


(最近よく、渡辺君の夢を見る)


//SE(フラッシュ音:「パシャッ! パシャッ!」と記憶が点滅する。定位は頭内で瞬間的に光る)


見つめ合った時の眼差しが……

鮮明に、脳裏で点滅する。


(どうしているのだろうか……

探してみようか……)


//SE(紙をめくる音:「パサ…パサ…」。足音:静かに歩く「コッ…コッ…」が記憶の中を進む)


封印していた秘密を、

渡辺君と同じN高校出身の親友に話した。


彼は、親身になって消息を調べてくれた。


でも……

高校生時代の実家の住所までしか、辿れなかった。


//SE(風:「スゥ…」と遠くから吹く。バスケット音:「ドン…ドン…」と遠くで弾む)


渡辺君は、進学校に入学したにもかかわらず、

大学へは進学していなかった。


23歳の頃、

どこかのチームでバスケットをしていた事実はある。


でも……

それがどこだったかも、私は聞き逃してしまった。


だから……

彼を探す術は、もうない。


//SE(ざわめき:体育館の歓声や通学路の風景が混じる。足音:すれ違う「コッ…コッ…」が交差して消える)


あれほどに……

中学生時代、何度も何度も横に並んだのに……

一度として、二人の人生が交わることはなかった。


(もし、一度でも交わっていたら……

きっと今とは、全く違った人生を歩んでいた)


//SE(心音:「とくん…」と深く、静かに。定位は胸元から頭内へ)


何となく……

後悔がにじみ出る。


(渡辺君と、一緒に歩いてみたかった……)


でも、わかっている。


//SE(風が止まる:「ピタ…」と空気が凍る。静寂:無音に近い空間が広がる)


私と渡辺君の人生は……

けっして交わらないという


運命さだめ」だった。

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