第11話 天狗と美琴の対話

森で妖怪が暴れているという警察と軍隊の報せを受けて森へ踏み入った闇野美琴の前に姿を現したのは天狗だった。伝承通りの赤い顔に長い鼻、白い髭を蓄え山伏の服装をして高下駄を履いている。


「あなたが妖怪軍団の総大将の天狗さんですね。わたしは闇野美琴といいます」


天狗は美琴を見下ろした。姫カットの黒髪に切れ長の瞳。白を基調とした忍者装束を着た長身の美女からは敵意が全く感じ取れなかった。


「わしが天狗である」

「どうして人々を襲ったりするのですか?」

「文明が発達し我らの生きづらい世になったからだ。闇は減り環境は破壊され、人々は我らの存在を忘れ世界を我が物のように振舞っておる」

「確かに身勝手な人がいることも理解しています。けれどあなたたちのことを信じ畏れている方々もまだまだいるはずです」

「しかし数が足りん。少数ではあまりにも無力だ。物事は数が多い方が勝つ。少数意見は大多数の都合のよい意見に飲み込まれるのが常よ」

天狗は一息ついてから目力を強めて切り出す。

「人間は数が増えすぎた。だから半分に減らす。全滅させるわけではない。半分に減れば、人間と妖怪の世界のバランスが保たれるのでな」

「あなた方が苦しい立場にいることも、そうせざるを得ない事情もわかりました。

でも、わたしはやっぱりたくさんの人を犠牲にするのは間違っていると思うんです」

「もっと穏便な方法があればよかったのであろうが、もう止められぬのだよ。わしにもお前にも」

「戦うしかないということですか?」

「お前が人間を守るというなればな」

「もしもわたしがあなたに勝利したら、人間を滅ぼすのを諦めてくれますか」

「先延ばしにはしてやろう。与えられた猶予の中で人間が何を思いどう変化していくのか、それを見届け判断を決めることにしよう」

「ありがとうございます。わたし、負けません」

「わしも負けるつもりはないが、美琴とやら。お前たちスター流格闘術はなぜ人間を守護する? どちらかといえばわしらの側であろう」

「それがわたしたちの使命だからです!」

「いい答えだ。よろしい正々堂々戦うことを約束しよう。お前たちの流儀でな」


魔法陣が現れ、四角いリングと三本ロープのリングが姿を現した。

妖怪軍団とスター流の大将同士の最後の勝負がはじまる。

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