第10話 学校のある日じゃなくて良かったわ

 一夜が明けていよいよゴールデンウィークに突入した。今年は祝日と土日が被っている関係で最大四連休となっているため物足りないという声も一部から上がっているらしい。

 だが俺としては四日も休めれば十分なので特に不満はなかった。むしろ休みが長ければ長くなるほど課題がさらに増えることは目に見えているし。だから夏休みの課題を考えると今から憂鬱になるレベルだ。


「てか、まだ五時半か。もう少し寝よう」


 思っていたよりもかなり早い時間に目が覚めたことに気付いた俺はせっかくなので二度寝することにした。カラオケも十時からスタートすると聞いていたので二度寝する時間はまだたっぷりとある。

 そんなことを考えながらうとうとしているうちに気付けば眠っていた。目を覚ますと何故か左腕に違和感があったため体を起こしながら左に顔を向ける。


「……えっ!?」


 何とそこには何故か俺の左腕を掴んだまま隣で眠っている紗奈の姿があったのだ。最初は夢かなとも思ったがどうやら現実らしい。すると俺が体を起こした振動で紗奈も目を覚ます。


「春人、おはよう」


「おはよう……じゃなくて、何で隣で寝てたんだよ?」


「春人の部屋に来たらあんたがまだ寝てたから起こそうかなと思ったんだけど、ベッドがあまりにも気持ちよさそうだからつい入っちゃった」


 なるほど、ベッドの誘惑に負けて寝転んだ挙句そのまま寝てしまったらしい。目が覚めて隣で寝てたらマジでビビるから辞めて欲しい。


「ん、俺を起こそうと思った……?」


 今日のカラオケには一緒に行く予定だったため紗奈がうちに迎えにきたはすだが、俺を起こさないといけないと思うってそんなに寝てたのか?

 そう思って時計を見た俺は自分が思っていた以上に寝過ぎていたことにようやく気付く。後二十分くらいで集合時間じゃん。


「おいおい、すぐに家を出ないと遅刻するじゃん!?」


「あら、本当ね」


 何でアラームが鳴らなかったんだよと思ったが、よくよく考えれば休日は普段からセットしていなかった。それに加えて俺を起こそうとした紗奈が寝てしまったらこうなってしまうのは必然だろう。

 てか、紗奈は何で余裕そうなんだよ。このままだと俺と一緒に遅刻するぞ。そんなことを思いながら俺は大急ぎでパジャマから着替え、スプレーで最低限寝癖を直して紗奈と家を出る。


「倉敷駅前のカラオケだから順調に行けばギリギリ間に合う感じになりそうだな」


「学校のある日じゃなくて良かったわね」


「ああ、せっかくこの一ヶ月間真面目にやってきたのに遅刻して内申点が下がったら最悪過ぎる」


 それから少しして何とか十時前に倉敷駅前のカラオケ店に到着した。すると秋夜がニヤニヤしながら話しかけてくる。


「春人がギリギリに来るなんて珍しいな、一体伊吹さんと二人でをしてたらこんなに遅くなったんだよ?」


「秋夜が想像するようなことは何もなかったから安心しろ」


「本当かよ、実は二人で楽しいことをしてたんじゃないのか?」


「流石に脳内がピンク色過ぎるのは直した方がいいと思うぞ」


 ナニという言葉をやけに強調して絡んでくる秋夜を俺は適当にあしらった。そんなやり取りをしているうちに入室の手続きが終わったようで部屋に移動を始める。

 今日のカラオケには十五人が参加しているため大体クラスメイトの三割近くが参加している感じだ。ただし、残念なことに全員が入れる部屋は無かったとのことで二グループに分かれることになった。秋夜はもう一つの部屋に行ったが紗奈は俺についてきたため一緒だ。

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