影役者なエンチャンターは追放された令嬢(死神少女)と最強を目指します!!

暁風 彩薔

1話 エンチャンター





「エンチャンター」




この職業は戦場において強敵と対する場合、強大なバフやデバフを使い戦いを優位にする。


しかし、エンチャンターが決定的な優位を

バフによって引き起こせてもそれは普通である。


何よりエンチャントをする前衛がいなければ成り立たない。


故に「できて当たり前」 そして、命を張る前衛職業より扱いがずさんになっていた。


「まぁ、今日もこんなところか」


まだ若さが残る青年が金貨を指で弾きながら町中を歩いている。


「エンチャンターは意外と依頼があるんだよなぁ」


その青年は一匹狼のエンチャンターとして自由気ままに生活中だ。



エンチャンターは戦闘において主に攻撃力上昇のバフを使い、強敵やボス級魔物を討伐するパーティーに雇われることがある。

その為、依頼の報酬が高価なものも多いのだ。


冒険者として一人でいても派遣のように依頼をこなせば生きていけるというわけだ。


「にしても今回の依頼は時間がかかったなぁ」


主人公であるエンチャンター。グランが受けたこの日の依頼は「ダンジョンボス攻略の補助職募集」の依頼。


グラン以外にもエンチャンターや魔法使いなどが多くいたが、たくさんのパーティが一斉にダンジョンに潜る。

なので、どこかのパーティーに入って依頼を受けることは難しくない。

もっとも、組んでくれる人が見つからないと出発すらできない。


最初にボスに対面したのはグラン以外のパーティーだったが、8番目に合流したのにも関わらず倒されていなかった。


「やっぱり前衛職の能力の高さも大事だけど、補助職もうまくやれないとって感じだよな」


前衛職である剣士や武闘家、魔剣士などの圧倒的能力でボスを倒し切ることができるが、ダンジョン系のボスは当たり前のように自己蘇生を持っているので一気に削ぎ切るか耐久戦をしながらじわじわ自己再生を鈍くするやり方がある。


「火力が出せるように立ち回りを考えないとかえってバフを腐らせるだけなんだけどなぁ。先にいた魔法士は中途半端なバフの切り替えしてしなぁ」


前衛が畳み掛けるタイミングでバフを適切に扱えないとしっかりダメージを与えることができない。

致命傷を与えることができればいいがダンジョンボスは一人二人の前衛で削ぎきれるほど弱くはない。


「駄目だ!駄目だ!またこんなネガっちゃだめだぜグラン!」


グランは頬を叩くと街にある食堂へ入っていった。


すると今日、グランと同じダンジョン攻略に参加していた他の冒険者パーティーの話し声が聞こえてきた。


「今日のダンジョン攻略は結構時間がかかったなよなぁ?」


「前衛が弱すぎるからじゃないですか?」


「はぁ?安全圏からしか戦わないくせによく言うぜ!」


これはよくある会話だ。


近距離戦で直接的なダメージを与えるのが前衛職、戦士や武闘家。

命を張りながらダメージを与える戦闘スタイルは、よく目立ち活躍が分かりやすい。


しかし、後衛職である魔法使いや僧侶、グランのエンチャンターは前衛より活躍がわかりにくく、目立たない。


「結構好きな立ち回りだけど、評価されにくい職業だぁ」


魔法使いは決定的なダメージを与えたり貢献度できることがあり、スポットライトが当たることはあるが前衛ほどではないし僧侶やエンチャンターの活躍はもっと分かりにくい。


なので先ほどの会話の魔法使いは後衛職のくくりで評価されたのだろう。



「またダンジョンが発生したぞ!緊急で行けるやつはギルドに集まれ!」


食堂の入口付近にいたグランは外を走って行く一人の冒険者の声を耳にした。


「おぉ、まじか。せっかくだし、飯の前にもう一仕事行くか!」



ちなみに、ダンジョンは不定期で出現し放置されすぎるとそこから魔物が溢れ出し被害が出る為、発見され次第ダンジョン攻略が始まる。


「今回は青色のダンジョンだ!」


「青色か、大した事なさそうだな」


ダンジョンには「色」による危険度差のようなものがある。

時空の歪のような入口の色が何種類かあって、一目で分かるようになっている。


グランがギルドにつくとそこは既に人が集まって賑わっていた。


「ここからパーティーを組んでくれそうな人たちを探さなきゃな」


先ほども説明したが、ギルドではグランのような独り身の冒険者もいるのでダンジョン攻略など、目的がわかっていればパーティーを結成するのは意外と簡単だ。


「お前エンチャンターだな?パーティーを組んでくれないか?」


さっそくグランに声をかけてきたのは剣士と武闘家、魔法使いのよくあるテンプレパーティーだった。

こういうパーティーはダンジョンでなく探索依頼などでコスパがいい。


「それじゃぁ、よろしく頼みます」


こうしてグランを含め剣士、武闘家、魔法使いに、エンチャンターという即席ダンジョン攻略のパーティーが完成した。




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第一話を読んでいただきありがとう御座います!


9月より小説を書き始めました

暁風彩薔(あさかぜ さいぞう)と言います。


よろしければレビューや♡などでご支援お願い致します!

それらを糧に作品の執筆を頑張ります!!


初作品なので、修正箇所があれば定期的に直していく予定です。

(公開から2週間ですでに4回も書き直してます.....)



色々な作品を書き精進して参りますので、どうぞよろしくお願いいたします!!!

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