第23話:若い芽
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セーフハウスのモニターに、無数のリストとグラフが並ぶ。
光の声が低く響いた。
《被験者データ、全件照合完了。年齢分布は——10代から20代前半に集中》
蓮司はソファに横たわったまま、重い瞼を無理に持ち上げて画面を見た。
身体を起こそうと肘に力を込めるが、すぐに崩れるように沈み込む。
呼吸は浅く、額には冷や汗が滲んでいた。
「……子供と、まだ若い大人ばっかじゃねえか」
掠れた声は、ほとんど呻きのようだった。
真鍋が淡々と補足する。
「身体が丈夫で回復力も高い。治験側から見れば“使い勝手がいい”んだろう」
朝比奈が横目で蓮司を見て、眉をひそめる。
「……無理に起き上がるな。そのままでいい」
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朝比奈は腕を組み、画面をじっと見つめたまま吐き捨てる。
「年寄りが若い芽を摘んで、自分たちの延命に使ってる……まるでこの国の縮図だな」
榊原が小さく息を呑む。
「……本当に、命の選別なんですね」
光が静かに続ける。
《さらに調査を進めます。対象は全員、家族構成が限定的。抵抗や追及の少ない環境が選ばれている可能性があります》
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蓮司は横になったまま拳を握りしめ、かすかに身体を起こそうとしたが、力が入らずに再びソファへ沈んだ。
「……人の未来を、勝手に切り捨ててるってことか」
その声には、怒りと同時にどこか焦燥が混じっていた。
真鍋が画面の別リストを示す。
「最近になって対象年齢がさらに下がってる」
そこには、まだ中学・高校の制服姿の子どもたちの顔写真が並んでいた。
■次回予告 ― 第24話「静かな火種」
遺族に告げられた安堵は、真実を隠すための偽りの言葉。だが、中学生の少女たちの真っ直ぐな視線が、蓮司と朝比奈の胸を突き刺す。小さな決意が火種となり、次の戦いへと確かに繋がっていく——。
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