廃嫡された王子の隠遁生活
iwai
廃嫡王子のはじまり
第1話 ある国の王子
ある国の物語。
その国の王子には、結婚を約束した令嬢がいました。
しかしある日突然、同盟国の王女との結婚が決まったのです。
国力が上の国からの申し出に受け入れるしかなく、王子は国のためを思い、泣く泣く恋人と別れ王女と結婚しました。
しかし傲慢な元王女の言動に王子は辟易するばかり。結婚生活は最初から破綻していました。
もちろん何年経っても子供などできるはずもありません。
焦った周りの人々は、側妃を持つことを提案しました。
こうして王子は、念願の令嬢との結婚が認められたのです。
愛する人を側妃として迎えいれると、すぐに待望の男の子が生まれました。
男の子は、ようやく結ばれた恋人同士から誕生した子ということで、愛の象徴として国中から祝福されました。
慶事は続き、半年も経たないうちに元王女も男の子を産みました。
そして男の子が二人生まれたということで、王位は譲位されることになったのです。
数年過ぎると、王子たちは明確な差が出始めました。
側妃の愛情を一杯受けて育った第一王子は、素直で愛嬌もあり周りの人々に好かれる天真爛漫な王子になりました。
一方、正妃は子供を産んでから体調を崩しがちになり、子育ては教育係に任せていたためか、第二王子は我慢が効かずわがままで周りの人々を困らせてばかりの王子になりました。
しかし、母親の身分差により第二王子を王太子することは確定であるため、有力貴族である侯爵家の令嬢が婚約者という名のお目付役に選ばれたのです。
度々癇癪を起こす攻撃的な性格の第二王子に対し、侯爵令嬢は未来の妃として、根気強く接していました。
王城での王子妃としての教育も日々厳しくなったある日、第二王子がお忍びで出かけた城下で出会った少女にご執心との噂が広がりました。
どうやら、初めて自分のことを理解し共感してもらえた少女に夢中で、公務を放り出して会いに行っているようなのです。
もちろん侯爵令嬢は第二王子に忠告しましたが、受け入れてもらえません。それどころか反発される始末。
自分の範囲を超えていると感じた侯爵令嬢は、父侯爵に相談しました。
そして父侯爵から国王へと進言されたのです。
国王は宰相とも協議し、日頃の第二王子の言動の悪さから、王太子としてふさわしくないと判断しました。
しかしせめてもの親心として、少女と一緒になることを許し、生活環境を整えてあげました。
こうして第二王子は重責から解放され、郊外にある一軒家で少女と一緒になることになりました。
伏せってばかりの王妃は本人の希望もあり、病気療養の名目で故郷に帰ることになりました。
侯爵令嬢は、第一王子と改めて婚約しました。
第二王子とのこともあったので心配された二人の仲ですが、最初から婚約者であったかのように相性が良く、王子の愛に溢れた対応にはにかむ侯爵令嬢の微笑ましい姿を度々目撃されるようになり、周りは暖かく見守ることにしました。
これにより、第一王子の結婚と同時に第一王子は王太子に、側妃は正妃になることが決まりました。
愛に包まれた王家に民衆は熱狂し、国の未来を安堵したのでした。
めでたし、めでたし?
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