6話 一条静華
あの子が行ったあと、僕は今も部屋で動けずにいた。そうあの子の過去を見ていた。
僕は一条家の次女として生を受け、姉さんとお父様、お母様と幸せに暮らしていた。そんなある日、僕に婚約者が出来た。僕は彼が好きになり、姉さんも彼の事が好きだった事に気付いていた。そんな時だった、姉さんの嫉妬と執着心があいつを呼び寄せてしまった。あの時、姉さんともっと彼について話をしておけばよかったと…そう後悔している。
呪いが僕を醜くい姿に変えた。姉さんは僕に謝り続けた。何より僕や家族を守るため強くなる努力を始めた。家族がバラバラになり、姉さんは中学生の時から陰陽師の学校に寮住まいをしている。自然と僕は一人になった。そんなある日、満月の大祓が起きた。それはすさまじい惨状だった。特級霊災になりかけた1級霊災を誰かが一晩で止めてしまった。僕自身も、その誰かがすさまじい氣を支配していた事を生まれつきのこの六感で感じることが出来た。もしかしたらこれをやってのけた力の持ち主なら僕を救ってくれるかも知れない。そう思った。けど、結果は変わらなかった。
お父様がある特級陰陽師の知人にできた養子を僕の護衛にするという話をしてきた。僕が襲撃を受けていると嘘をついてまで…いやあながち嘘でもなかった呪いをかけたあいつがまたいつ僕を襲うのか怖かった。
そんな時、息抜きによった喫茶店で認識阻害のピアスをつけて訪れた。僕は顔がいいらしく、よく行く先々で騒がれていたから用心のためにピアスをつけた。認識阻害をかけながら喫茶店に入ると1人の同い年の男の子に目がいった。珈琲片手に死んだような目をしながらゆっくりと珈琲を口に運んでいく彼に思わず声をかけた。
彼が護衛の陰陽師だと聞いた時は驚いた。年齢を聞いたらやはり同い年だった。彼は喫茶店にいた時も屋敷にいる時も温かいほどに優しい人だった。
そんな時、3日目の夜に彼に呪いを見られてしまった。彼も皆のように逃げるだろうとそう思った。いきなり口調が乱暴になった彼は僕を抱きしめて慰め始めた。その後、大丈夫という言葉に反応して彼に怒りをぶつけてしまった。
「「ッ…君はただの吉備家にたまたま拾われて今の地位にいるだけだろ。どうせ、拾われる前も一般家庭でぬくぬく育ってきたんだろ。霊災孤児だか何だか知らないが僕の何が分かるって言うんだ。もう僕に構わず逃げればいいじゃないか」」
彼は僕にこう言った。
「「今からお前を怒るよく聞け」」
僕の六感の発動条件「僕をに怒りを向けること」
「僕を怒る人なんてほとんどいなかったのに」
「「辛いなら辛いと言え!寂しいならそう言え!僕には味方がいないだと俺がなってやる。お前と一緒にいてやる!だから心配すんな」」
「あの子、いや暁仁か…僕は彼の名前をまだ呼んでいなかった。僕は彼から無意識に距離を置いていたんだ」
「暁仁に酷いこと言っちゃった。ぬくぬく育ってきたなんて、彼が守るために全てを捨て血だらけの道に進み始める覚悟を決めた。そんな彼を僕は…」
「あって3日目で助けるなんて、そんなのズルいよ。そんな僕も胸がドキドキして仕方がない。あぁ、僕は暁仁に3日で落とされてしまったんだ」
「まさか、満月の大祓をやってのけたのが暁仁なんて…僕をみてドキドキしてたから大丈夫だよね」
「彼は僕が貰う。それに一緒にいてやるって言ったのは暁仁だ。僕は君を手放さない。帰ってきたら何をしてあげようかな」
彼の未来を観るのが怖い今はただ無事に僕の下へ戻ってくることを祈ろう…あの血だらけのお人好しを…
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