新聞記事2

(西中国日報・昭和62年8月4日 朝刊・社会面)


不明男性を発見か 町外れの県道で通報


 赤坂町で先月末から行方がわからなくなっている無職男性(32)に「よく似た人物を町外れの県道で見た」とする通報が、2日夕方、警察に寄せられた。

 通報者は近隣に住む女性(58)で、「坂の上からゆっくり降りてくる姿が目に入った。服装は薄いグレーの上着で、顔ははっきり見えなかったが、立ち止まったときの肩の角度が似ていた」と話す。


 当日は小雨で周囲に人影はなかったという。女性が窓を開けて声をかけようとした途端、その人物は向きを変え、視界の外へ消えた。

 現場は民家からやや離れた緩やかな坂道で、舗装が新しくなったばかりだった。警察は現場付近を調べたが、男性発見には至っていない。


 なお、同じ県道沿いでは数年前にも別の行方不明事案が発生。当時も「似た人物を見た」という証言があったが、詳細は記録に残っていない。



同じ紙面内の別記事(部分)


市立図書館、耐震工事で半年休館

 来月から工事開始。期間中は移動図書館車を活用する予定。


児童ら七夕飾りづくり 公民館ロビーで

 地元小学校の児童24人が短冊や飾りを制作。「雨が降っても星に届くように」と笑顔を見せた。


河川敷の桜並木で倒木被害 「音はしなかった」との証言

 先週末、町内の桜並木で計4本の倒木が発見された。住民の一人は「倒れたのに気づいたのは朝。夜の間に音もなく倒れていた」と話す。原因は調査中。


町内会だより

 秋祭りの実行委員長に中田氏(61)が就任。来月の顔合わせ会の詳細は未定。



(調査者注)

 この記事の現場を確認するため、今年の春に赤坂町を訪れた。

 県道は現在も存在するが、「緩い坂道」に該当する場所は地図上に見当たらなかった。役場の土木課で1987年当時の道路工事記録を確認したところ、記事にある時期に「新しく舗装された」経歴を持つ坂道は登録されていない。


 役場職員によれば、「確かに昔、その辺りに短い坂はあったが、昭和の終わり頃に取り壊されて更地になった」とのこと。しかし航空写真や古地図を照合しても、その坂の存在ははっきりせず、証言した職員も「もしかすると別の場所と勘違いしているかもしれない」と首をひねった。


 さらに地元の年配男性(当時20代後半)に話を聞いたところ、「あの坂は雨の日になると人影が立つと噂されとった。車で通ると必ず減速して見てしまうような……そんな場所だった」と語った。しかし、どういう姿の人影かを尋ねると、男性は少し黙ってから「いや、よくは見えんかった」と言葉を濁した。


 また、記事中にある「数年前の同様の証言」について縮刷版を調べたが、該当する記述は見つからなかった。ただ、1983年の地方紙別号に「山中で足跡だけが見つかった失踪事件」が報じられており、その現場が県道沿いであった可能性が高い。




後年の関連事案(1994年・2001年)


 1994年、同じ県道の約3km離れた地点で会社員男性(41)が行方不明になった。

 警察発表では「出勤途中に姿が見えなくなった」とされているが、地元住民の一人は「その朝、坂の上から降りてくる人影を見た」と証言している。この証言は当時の新聞には掲載されなかった。


 2001年には、失踪事件の現場近くで犬の散歩中だった女性が「同じ人物を二度すれ違った」と友人に話している。この友人が翌日その件を別の知人に伝えたが、女性はその日の夜から所在不明になった。


 この一連の出来事を時系列にまとめると、1987年以降、この県道沿いでは少なくとも4件の失踪が発生している。いずれも「坂の上から降りてくる」「無言で歩いている」という共通点が見られる。



(調査者注・追記)

 現地を離れる前、県道沿いの空き地で立ち話をしていたところ、背後で足音のようなものを聞いた。振り返ったが誰もいなかった。

 この記事を書いた当時の記者は、どんな気持ちでこの原稿を締め切りに間に合わせたのだろうか。

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