第4話『視察も大切です。』



お世話になっております、澄空です。

突然ですが、タイトルを変更致しました!

というのも……、この物語を執筆するにあたりまして、なかなかアイデアに詰まることも多く、展開もありきたりになってしまうことも危惧しておりまして……。

一人の女子とのラブコメはもうお腹いっぱいであるため、もういっそのことハーレム展開にしてやろうと。

女の子いっぱい出してやろうと、そう思った次第でございます。

それにあたり、投稿頻度も若干あげていけるかな……、と思いますので今後ともよろしくお願い致します。




***




 ――――岩城柚いわき ゆず


 秀道高校2-B所属、8月29日生まれの16歳。

 血液型AB型。

 好きな食べ物はイチゴ系のお菓子。

 身長185センチ。

 その長身を生かし、バレーボール部に在籍、一年の頃から既にレギュラーとして活躍。

 秀道高校自体バレーボールは男女ともに強く、県大会常連。

 それ故に、同競技関係者内における『岩城柚』の同世代の認知率は非情に高い――――。


「――――話聞く限り、かなりの有名人らしいな。

 岩城先輩」


 俺の読み上げたメモの内容を聞き、深く頷く義人。

 その視線の先では、スパイクを打つべく助走をつける一人の女生徒。

 そして――――。

 セッター役の人が上げたボールを、エンドラインギリギリにダイナミックに叩き込んだ。


「かっけぇ……!」


 俺だけに留まらず、周囲から漏れる歓声。

 現在進行形でスパイクの練習が行われている、秀道高校バレーボール部。

 体育館入り口付近では俺達を含めた複数の生徒が溜まっていて、練習の様子を見守っている。


「すげぇ人気だな……」


 男女問わず大勢の人が見つめる先にいるのは、他でもない――――柚さん。

 汗を拭いながらもこちらを一瞥し、そしてすぐに練習へと意識を戻す。

 そのクールな佇まいに、前列にいる女子は黄色い悲鳴を上げている。


「……でもさ、いくらお前でもパターンは初めてだろ」


「……?

 どういうこと?」


「……いや、鳴海先輩から聞いたろーが。

 岩城先輩の恋愛に関する趣味嗜好。

 って……、もう打つ手ないだろ」


「そうかな……?

 とりあえず、『女装』しなきゃって思ったけど……」


「とりあえず、ですることじゃないだろ……」


 眉間に皺を寄せ、露骨に呆れた表情を浮かべる義人。

 俺は良い方法だと思うけど……。


「でもまぁ……何はともあれ、まずはお近づきにならないとね」


 そう。

 そもそもの関係性的に、俺と柚さんはまだCallumカルムで顔を合わせただけに過ぎない。

 しかも俺の暴走もあって、印象は良くない……よな。

 確かに、「女性が好き」なのであれば、見ず知らずの男から誘われるのもかなり嫌だったと思う。


「練習が終わったら直接話しかけに行くか?」


 何てことなしにそう口にする義人、しかし俺は首を横に振りそれを否定した。


「……いや、それはやめとく。

 何か、前みたいに拒絶されそうだし……」


 すると。

 義人は目をかっぴろげ、意外そうに俺の方を見つめている。


「……意外だ。

 ついに自制利くようになったか」


「うん……、まぁ……」


 正直、このまま無策で特攻することで、また柚さんに嫌な想いをさせるのが嫌なだけだったけど……。

 義人の言う通り、無い頭を必死に捻り、何とか策を講じないといけないのは分かる。


 でもなぁ……。

 これまでに「ストレートにアプローチ」や、「玉砕覚悟での特攻」しかやってこなかった身としては、いかんせん難しい現状だ。


 そもそもとして、まずはお近づきになりたい所存ではあるけれど……。

 現在進行形でスパイク練習に励んでいる柚さんを目で追う。

 その素敵な巨体が大きく跳躍し、ボールめがけて叩きつけられる迫力といったらもう……。


「可愛いー……」


 しばしボーッとしながら、その勇姿を視界に収める。


「学年が違うってだけで、そもそも関わる機会もないしな」


「ほんとそれな……」


 義人は顎に手を当て、難しい顔をしながら頷いている。

 を何とかしない限り、俺に現状打破の兆しはない。

 かといって、過度な接触は柚さんを怖がらせることになるかも。

 加えて、「女の子が好き」というステータス保持。


 義人の言う通り、有り体に言えば、かなり「詰んでいる」状態。


「どうしようかねぇ……」


 思わず天井を仰ぎ、体育館の照明をぼんやりと眺める。

 しかし、そうしていても妙案なんて思いつくはずも……。



 ――――転瞬。


 にわかに周囲にたむろっている人たちに生じる、


 視線を目の前へと戻すと、剛速球で迫る――――バレーボール。

 その視界の奥には、まだ滞空しており、目を大きく見開き俺の方を凝視している柚さんの姿。

 その表情も可愛いな、と思ったのも束の間。

 スパイクされ、すっぽ抜けたと思しき、そのボールはほぼ一直線に俺へと向かっていて――――。







「――――そいっ」


 俺はレシーブの体勢をとり、向かい来るボールを受け止め、上空へと放った。


 体育館を支配する、束の間の静寂。

 コートへと返球されたボールは、地面に数回バウンドし、やがてその勢いを止める。

 そして、ボールの行く末を見届けた体育館内にいる人の視線は、再度俺へと向けられる。


「……いやー、危なかったね。

 やっぱ凄いわ、バレー部の練習」


 隣で一連の様子を見ていた義人へと話しかけると、当の本人は「……さすが、今も健在だな」と何回か頷く。

 まぁ、それはそれとして……周囲の視線が痛いんですけど。

 何で皆、俺の方を見てんの?

 別に怪我とかはしてないし、大丈夫なんですけど……。


「……?」


 異様な雰囲気に包まれる中、若干の居心地の悪さを感じていると。


「キミ、何者……?」


 コート内の一人の女子生徒が、おずおずと言った様子でこちらに近づいてきて、俺へと声をかけた。


「何で、……?

 ひょっとしてバレー経験者……??」


 柚さんほどではないけど、なかなかの長身を誇るその女生徒は、いかにも運動部!といった出で立ち。

 髪の短さもさることながら、日々の練習で培ったと思しき、程よく筋肉質な身体をしているのが見て取れる。

 さながら、バレー部のお姉さん。


「えと……、バレーボールは……全然やったことなくて……。

 何て言うか……そ、その…………?」


 化物でも見るかのような視線に圧倒されながらも、辛うじて紡いだ言葉。

 当たり障りのないことしか喋っていないように思うけど、俺の返答を聞いたそのお姉さんは更に目をかっぴらき、コート内にいるバレー部員とアイコンタクトを交わしている。


「(ちょっと、これ何……?)」


 俺はいたたまれなくなり、隣の義人へと耳打ちをする。


「(……まぁ、はあのスパイクに突然反応できんだろうな)」


「(……?)」


 自然と俺の眉根が寄っていくのも束の間――――。


「あ、あのさキミ、一年生だよね!?」


 襟についている俺の組章を差しながら、俺に話しかけてきたお姉さんは少し興奮した様子で俺へと詰め寄ってくる。


「はい……、そうですけど……」


「他に部活やってるの!?」


「いや……別に……、何も……」


 それを聞き、満面の笑みを浮かべるバレー部のお姉さん。

 そして、俺の手を取り真っ直ぐに交錯する視線。

 見下ろされるその視線に強まっていく拍動。

 そして――――。


「――――女バレ、手伝ってくれない!?」


 体育館に木霊する声。

 握られた手に込められる力の強さ。

 そちらへと意識が向けられていたため、自分が何を言われているのか分からず、一瞬脳が思考を放棄する。


「……え?」


「だーかーらー、女バレの練習手伝ってよ!!」


 疑問符を浮かべる俺に、もう一度同様の内容を語りかけるお姉さん。

 ……ちゃんと脳が情報を処理した今、実感を込めて言おうと思います。

 はい、せーの。



「え?」







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