第46話 新婚旅行 ‐1‐

「殿下、カタリナ様。私ども、本日から一週間休暇をいただきます」


「「 へ? 」」


 朝食後、ダイニングルームにゴーレムたちが1列に並び、クルトとカタリナに頭を下げるもんだから、二人揃って変な声が出た。


 モントが代表してゴーレムたちの休暇を申し出たのだ。


 先にツッコんだのはクルトだった。


「休暇って…… 私の仕事はどうなってるんだ、メルクール?」


「はい! 全て、スケジュールを調整済みでございます! 殿下のお仕事も一週間休暇を申請しましたので、ご安心ください」


「いやいや、私の許可なく勝手に休暇にしないでくれよ」


「陛下からも、新婚旅行の為に殿下に休暇を取らせるように前々から仰せつかっておりました。この際、お二人でご旅行にでも行ってきてください。こちらをどうぞ」


 メルクールは恭しく二人にホテルのパンフレットを渡した。パンフレットには『バデン・スパリゾートホテル』と書かれている。


「本日の15時チェックインで予約してありますので、私たちが休暇の間はそこでお過ごしください。一週間分の着替えも既にホテルに届けておきました。それでは!!」


「ちょっとまて!!」


 クルトの制止を聞かずにゴーレムたちは逃げるようにダイニングルームから出ていった。

 クルトは呆然と立ち尽くしているが、カタリナは面白かったのか腹を抱えて笑っている。


「うあぁ、おかしい」

 カタリナは笑い過ぎて涙目だ。


「……どうする、カタリナ」


「どうするもこうするも、メルクールがホテルを予約してあるというのですから行ってみましょうよ。キャンセルするのは勿体ないですからね。殿下はこのホテルの場所はご存知ですか?」


「あぁ…… バデンの街の中にあるホテルだ。ここから一時間程歩かなければならないが、大丈夫か?」


「一時間なら余裕です。楽しみになってきました! 早く出発しましょう! エスコートしてくださいますか?」


 カタリナがそう尋ねるとクルトはそそくさと近づいてきて、カタリナに手を差し出した。顔を赤くしてそっぽを向いている。

 カタリナは久しぶりにクルトにくっつけるのが嬉しくて、勢いよくクルトの腕に飛びついた。





 


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