第13話 あまりの落差
「おい、トモヤ。こんなところにいたのか」
「あ……」
そのタイミングでトイレにやってきたのは、リーダーのハヤト、取り巻きのトシオ、コウキのいじめっ子3人組だった。
「どうせ、間抜けなトモヤのことだから間に合わずに小便でも漏らしたんだろ。きたねえな」
「うへえ。その見立て、間違いねえっすね。ハヤトさん」
「まったくです。なんてばっちいんでしょう! 本当に、どんな状況になってもトモヤ氏は惨めな負け犬ですねえ。ほら、お手っ!」
「「「ギャハハ!」」」
「……」
本当に、どこにでも現れるな、こいつら。
「主、なんなのだ、やつらは。主を侮辱するなんて許せない!」
「いいんだ、ゴン。言わせておこう」
僕がスルーしてトイレから引き上げると、後ろからバカにするような声が聞こえてきた。
「トモヤ。今回俺が手に入れた従魔を見たら、お前はみんなの前で失禁して気絶するだろうよ。今それができねえのが残念でならねえ!」
「トモヤアァッ、おいらの従魔もてめーを見て笑ってるぜえぇ!」
「私の従魔氏もそうです。もし彼を使う機会があるなら、トモヤ氏、あなたを襲わせて狩りを覚えさせますっ!」
「……はあ」
「主、やつらの近くから確かにモンスターの気配は感じるが、大したことはない。安心してくれ!」
「ゴンってそんなことまでわかるんだ?」
「もちろん。ここで纏めて始末できないのが残念だが!」
しばしの休憩を挟んで、教室に自動転送されて本日二回目の異次元ガチャが始まった。
「主よ。ガチャとはなんなのだ?」
「ゴン、ガチャっていうのはね、色々な種類のカードを僕たちに引かせて、そこから当たりかハズレを決めるわけ」
「なるほど。ということは、主は幸運にも我のような当たりを引いたわけだな!」
「うん。まあ全部当たりなんだけどね」
「な、なんだって……!?」
面食らった様子のゴン。
「そういうカードがあるんだ。まあ見てて」
「わ、わかった……」
『おめでとうございます、レアカードです』
「おおっ、本当に当たりだ……!」
ゴンが声を弾ませる。一緒にカードの表を見ると、『SSRルーム【???】。泊まってみてのお楽しみ』と書かれていた。へえ、今度は部屋ガチャなんだな。
「主よ、ルームとはなんなのだ?」
「ホテルの一室みたいなものだよ」
「ほぉ、是非見てみたいものだな!」
周りを見渡すと、手元に扉を出している生徒が多くいた。どこ〇もドアみたいな感じか? ドアの種類はみんな同じで、早速中に入っている生徒たちを見かけた。開けても中が見えないようになってるみたいだ。SSRカードの説明が他人には白紙に見えるように、覗き防止のフィルターみたいなものかな。となると、他人は中に入れないような仕組みになっている可能性が高い。
次のガチャが始まる前に僕も使ってみよう。ただ、万が一、ドアを開けたときに他人に入られる可能性もあるので別の場所がいい。
「主よ、早く入ろう!」
「ゴン、ちょっと待って。人がいないところを探そう」
なんせ、このクラスにはいじめっ子が目を光らせてるからね。僕の部屋に無断で入ろうとするかもしれない。僕はハヤトたちを横目に見て、誰もこっちに注目してないのを見計らって廊下へ出るとともに、男子トイレへとテレポートした。
ふう。これくらいの距離なら大丈夫みたいだ。それに、まだ誰もいない。誰もがルームに夢中になっていることの証左か。僕はそこでカードを使うと、扉が出現した。ドアノブがないので押して開くタイプみたいだ。
「お先! ……あれ? 入れない!」
ゴンがドアに体当たりするも開かない。
「こらこら、ゴン。そんなことしたらドアが壊れちゃうよ」
僕がドアを押すとあっさり開いた。持ち主じゃないと開かないっぽいね……って、こりゃ凄いや。僕はあまりの光景にびっくりしていた。
「おおおっ! なんという素晴らしい光景なのだっ!」
ゴンが中に入ってはしゃいでる。
その部屋というのが、白を基調とした広大な空間で、豪華なシャンデリアに格調高い椅子やテーブル、ソファ、ダブルベッドつきであり、窓から射し込むまばゆい光が室内の光沢と絢爛さをより引き出していた。まるでどこかのお屋敷の中に紛れ込んだみたいだ。男子トイレからこれって、いくらなんでも差がありすぎる。
「主、これはあまりにも快適すぎる部屋だ! なんだか無性に燃やしたくなるが!」
「いや、ゴン、それだけはやめて!」
「冗談だっ!」
ゴンが部屋の中を飛び回ってる。思わず炎のブレスを吐きたくなるくらい気分が高揚してるみたいだ。
まず、部屋の中を色々と探ってみよう。お、向こうのほうに扉もあると思ったけど、もしかしてこっちもトイレに繋がってる? そう思ってそっと扉を開けてみたら螺旋階段があり、吹き抜けの構造で下がリビングルームのようになっていたんだ。ここも使えるの? いくらなんでも凄すぎだろ。さすがSSRルーム!
下に降りて他の部屋も探ってみたところ、トイレや風呂まであった。もちろんちゃんと水も出る。もしかしたら屋敷の外も行けるのかと思ったら、玄関の扉からゴンが中々先に進まない。
「あ、開かない! 主、開けてみて!」
「うん」
するとちゃんと開いて、庭園まで散策することができた。ここって、もしかして異世界なんだろうか? まさか他人の家を借りてる状態じゃないよね? なんか普通にそう思えるくらい屋敷の内外は手入れが行き届いていたんだ。
「ゴン、それ以上はダメ!」
「えー」
ゴンが渋々といった様子で戻ってくる。てか、すんなり戻ってきたってことは、あまり主人から離れすぎるとそれ以上は進めなくなるっぽい。
「迷子になるかもしれないからね。屋敷の中に戻ろう」
「わかった!」
そうだ。僕らがルーム内に入ったことで更新されてるはずだからカードの説明を見てみよう。
『SSRルームカード【シャルド伯爵の屋敷】。自然豊かな場所に位置する豪華な屋敷が出現する。基本的に、持ち主が扉を開いている場合のみ他者は入ることができる』
シャルド伯爵って誰だ? まあいっか。特に使用制限もないみたいだから、いつでも豪華な屋敷を満喫できると思うと最高だ。ただ、使用制限や時間制限もないという事実が妙に気になっていた。何か裏がありそうな気もする。気のせいだといいけど……。
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