第6話
男は二人を見下ろし、血にまみれた大剣を握ったまま薄笑いを浮かべた。
「まさか東雲家と月影家を殺すとはな……名家なのに、ボスも人が悪い」
「ボス……?」
蓮と颯真は恐怖で震え、言葉が詰まる。
「あぁ……俺のボスだ。どうせお前らは死ぬからおれの地獄へのお土産として聴かせてやる」
男はゆっくりと膝をつき、二人を睨みつける。
「お前ら2家を潰そうとしてるお方、おれのボス、織田家だ」
「ッッッ! 織田家だと……!?」
颯真の声が絶望と怒りに震え、呟く。
「そうだ……俺のボスの命令で、全部片付けてやったんだ。あんたたちも……もうすぐだ」
男はゆっくりと歩み寄り、血塗れの大剣を振り上げる。
蓮と颯真は男を見つめ、息を荒げ、最後の力を振り絞る。刀と忍術、二人の連携が屋敷を駆け巡る。斬撃と影縫いの糸が交錯し、一瞬だけ男の動きが鈍る。だが、それも束の間。男は片手で大剣を受け流し、もう片方で颯真を壁に叩きつけた。
「……まだ、もがく」
男の低く響く声が、屋敷全体に重くのしかかる。梁は軋み、窓は割れ、粉塵が舞い上がる。二人は何度も立ち上がろうとするが、男の力の前では抵抗は無力だった。
「まぁ、お前らのことは嫌いじゃねぇが、ボスのためだ、今かららくに殺してやるよ」
そう言い、男は大剣を2人へと向ける。
「……クソが」
颯真が諦め呟く。
「…………」
蓮はまだ男を睨み続ける。
「あばよ」
男の大剣が2人の首を切断しようと振りかぶった瞬間――屋敷全体が眩い光に包まれた。
刀も忍術も、大剣も、血と破壊も、すべて光に飲み込まれる。光は渦を巻き、屋敷の梁を揺らし、砕けたガラスや柱を浮かせるほどの圧倒的な力を放った。二人の体を中心に、まるで時空ごと引き裂くかのような光の奔流が走る。
「なっ……!?」
男は思わず立ち止まり、刃を握った手が震える。光は二人を抱き込み、胸の奥まで暖かく、しかし力強く押し込む。怒りも悲しみも、恐怖もすべて光に変わり、刀や忍術の痕跡を溶かしていく。
屋敷に残るのは、煙と瓦礫の山。光は徐々に弱まり、静寂が支配する。男が息を整え、辺りを見渡す――だが光が完全に消えた瞬間、二人の姿は、どこにもなかった。
刀も忍術の痕跡も消え、空気だけが震える。まるで二人は最初から存在していなかったかのように。
「……何だ、これは……」
男は膝をつき、息を荒げ、信じられない光景に立ち尽くす。
しかし、屋敷の静寂の中に、二人の行方を示すものは何ひとつ残されていなかった
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