今度こそ貴方と
老いには逆らえん
第1話
俺達が暮らす近代化した今でも鎖国政策が続く小さな島国「日野出邦」には、人の優劣を付ける様々な指標があると専門家達は話す。
とある高名な心理学者曰く内面と外面の相補的関係、人気の芸能人曰く声と笑顔、政治家二世のハゲ親父曰く権力と金…
まあ、誰もが好き勝手言ってる訳だが実際のところ俺達の国で優先されているのは
『カードゲームの強さ』だ。
我が国では、ゲー厶に用いられる全てのカードには魂が宿っていてそこに描かれたモンスターや太古の戦士が、持ち主を選んでいくのだ。
カードの魂達は、人のように千差万別で似た物があっても同じ物は1つとしてない…それを裏付けるように、似た効果の物でも全く違う持ち主を選んだり勝手にやれと言わんばかりに商品として大人しくしているのもある。
このように、カード達は生物であり人と共存を選んでいるのでそれを見せびらかすカードゲームは社会人として着飾るが如く重要視される。
少し思考が冗長になってしまったが…それは広い心で許してくれカードの皆。
ちょっ、やる気は無くさないで欲しいかな。
憎むべき相手は、そこに居る無断に長考して俺を退屈にさせてるオタク君だぞー?
主人に反抗的なのはいけないと思いますね。
「ぼ、僕は手札から6マナでサンドスプリンターを召喚!」
やっと長考から復活したオタク君こと、俺(櫻井 蓮)の対戦相手は腰までの大きさをした大きな砂ネズミを場に出してきた。
何をやってもライフ3つで満タンの俺と、1つだけのオタク君では覆せない差があるが…勝者の余裕として受け止めようか。
「サンドスプリンターはイリュージョンで辺りの砂に幻覚効果を付与して攻撃を遮る!更に…えっと、1マナでスキル:ダストバーストを発動しサンドスプリンターを砂で完全に隠す。ターンエンドだっ」
サンドちゃんね、また面倒臭いのが来たわ。
オタク君は、隠れて隙を伺う戦法で逃げ回るから勝てる戦いが無駄に長引く…
「でも残念、詰みだよ。俺は4マナで魂の共鳴を唱えて、幻覚無効化。3マナで墓地から復讐する獣を召喚」
俺は魂の共鳴効果で幻覚効果に対する耐性を得てから、墓地で寝転んでたワンコを場に出すとバトルゾーンには前から出してたフォレスター君と合わせて素敵なコンビの出来上がり。
「ワンコは殺された恨みでスキル:復讐を発動して、サンドちゃんを無視したダイレクトアタック可能。はい、もう良いよ行ってらっしゃい」
『ガルアアアッ!!』
「痛ぁぁ!!」
仮想空間の中でも痛いのはそのままなんだよね、かなり恨まれてるみたいでライフ削りの判定ギリギリで噛みつかれてるわー南無南無。
おお?でもオタク君は何やらカードを構えてるね、痛みでほぼ声になってないから気合いで読唇すると…
「サンドドールを特殊召喚?擬似ライフの盾にする…うん、負けを認めたく無いんだね。気持ちは分かるけど、さっき言った通り詰んでるんだよ」
オタク君には聞こえないだろうから口には出さず、苔を背負ったゆるキャラみたいなフォレスター君のスキル:応援を発動。
復讐する獣に攻撃不可なフォレスター君のエネルギーを渡して、砂で作られた身代わり人形と纏めて攻撃。
哀れ、オタク君は声も無く崩れ落ちてしまったのである。
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