アソートキャンディ

川北甘煮

飴玉

 ゴクリと音を立てて飴玉を嚥下する。あーあ、まだ舐め始めたばっかりだったのに。あたしは袋に手を突っ込むと、手探りで新しい飴玉を一つ取り出した。両端を軽く引っ張るだけで、くるんと回転する姿が愛おしい。そんなことを考えながら、あたしは口内にそれを放った。

 まだ、さっき飲み込んだ飴玉の感覚が、残っている。飲み込んだはずなのに、まだ喉に引っかかっているかのようなあの感覚は、何度味わっても好きになれない。今あたしの口の中にあるのは、新しい飴玉一粒だけ。でも、確かにさっきまで、そこにはあったんだとわからせられる。飴玉と一緒に、引っかかっているのは何か――ああ、いや、面倒臭い。


 ハァ、飴は最後まで舐めとかして食べる物なのに、あたし、イケナイことしちゃった。飴玉一つにこんな気分にさせられちゃうなんて、存外あたしも繊細な女の子だわ。

 あたしはまだ一回りくらいしか小さくなっていない飴玉を包み紙に吐き出した。唾液で包装紙の内側がちょっと灰色に滲んだ。開ける時はただ引くだけなのに、元に戻すには捻らなきゃなんて理不尽だわ、なんて愚痴をこぼしても、見たくないんだから仕方がない。飴玉を隠すように包装紙を折ると、両端をぎゅっと捻った。ああ、桃色の水玉模様が目に毒だ。あたしもこうなりたいね。

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