第13話
エルフ自治区のダンジョンはあれから変貌していた
まずダンジョン内の大きさが東京ドーム程まで広がっていた
これは世界樹の成長に合わせて変化したものと思われる
現在世界樹は10メートルまで成長していた
それに伴いダンジョンも広がっていた
ダンジョンのレベルは変化せずレベル1のままだった
変わったのは広さだけで新たな階層やモンスターなどは現れなかった
ダンジョン内が広くなったことにより 新たな施設が増えた
畑は拡張され 薬草以外にもダンジョン産の作物エリアが増設された
畑の反対側には牛や鶏などの牧場が出来た
もちろんダンジョン産の動物である
植物と違いモンスターではない動物は珍しく、こちら側に生きた状態で持ち帰られることはほぼないが、これらを持ち帰った人物はユートの父の旧友である特級探索者たちだ
彼らはエルフ自治区の発足祝いとして生け捕りにして持ってきたのだ
本来ならダンジョン管理局や国に回収されるのだが、持ち帰ったのが特級探索者であり、エルフ自治区への祝いの品ということで何事もなく持ち込まれた
やって来た動物は
牛2頭 鶏3羽
飼育はソエルの部下のエルフたちが持ち回りですることになった
ちなみにダンジョンの入り口がある部屋が庭に繋がる部屋だったので人の出入りや搬入は増えてもユートたちの生活にさほど影響はなかった
それ以外の施設は訓練場の他に、地上とは別に用意した生産や調理など行える簡易的な施設と宿泊施設などがある
地上での生活活動がメインなのだが、ダンジョン内でも一通り行えるように用意された
これらは定期的に利用されている
エルフにとってダンジョン内での生活は落ち着くらしい
世界樹があるこの環境はユグドラシアと遜色ないとのことだ
世界樹が成長してからある日
ユートが世界樹の下で昼寝していると 一本の枝が落ちてきた
枝といっていいのかわからない
何故なら1メートル程の棒のような枝だったからだ
世界樹はこのダンジョンにできて以来、これまで果実を落としたりしていたが
枝を落としたのは今回がはじめてだった
ソエルの話によると世界樹が果実などを落とすのは認めた人間にだけなので
その場にいた者が所有者になるのだそうだ
これまでに落ちた果実はユートが皆で食べようという提案でエルフ全員で分けて食べたりしたのだが今回の枝はどうしたものかと悩んでいると
「ユートに武器として使えってことじゃないかしら」
ユートの武器は長い棒
一応特殊な金属ではあるが一見すると只の棒だ
世界樹は自分の素材を使った武器を使って欲しいのではないかというのがソフィアの予想だ
ユートに所有権があるので好きに使っていいと皆に言われ武器に加工することになった
ソエルの部下で木工が得意な者がいたので木刀にしてもらうことにした
完全した木刀は長年愛用した武器かのような感覚だった
材質が木材なので強度に不安ではあったが、完全した木刀は今まで使っていた棒よりも硬質で使いやすかった
「ねぇ 洞爺湖って入れないのかしら?」
ソフィアの提案は却下された
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