タイムマシーン
@rocky4250
第1話
タイムマシーン
第一話
「夕焼け〜旅の始まり」
俺の名前は三井優(すぐる)
低賃金で働くしがないサラリーマンだ。
今日も長い8時間の勤務を終えた。
ハァ
ため息を吐きながら、俺は社内の喫煙室へと向かった。
1日、5本までと決めている、節約、節約の日々だ。
喫煙室を出て、俺は残業を頼まれない様にカバンを持ち、そそくさと会社を後にしようとした。
すると、、
何だかヒソヒソ声が聞こえてきた。
あぁ、同期の若い奴らか。
日頃、挨拶もほぼしない全く交流もない奴らだ。
「今週、上司とか抜きで、俺等だけで呑みいかね?」
「お!良いね、良いね!」
「後もう1つ、三井は呼ばないでおこうぜ? あんな喋らない奴がいると、気分が萎えちまうからよ。」
「そうだな、そうしよう!」
ケッ!くだらねぇ!
こっちこそ、てめぇ等みたいなのと糞共と飲み会なんかで金使うのは、お断りだ!
俺はむしゃくしゃとした気持ちで会社を後にし、速歩きで家に向かった。
あの日は夕焼けが随分と綺麗だったな〜
俺は歩きながら、疲れた今日の些細なご褒美に、缶コーヒーを買いにいつもの自販機で、グビグビと飲んだ。 ついでに煙草も一本。
夕焼けが本当に美しい。
まるで1日の、フラストレーションを掻き消してくれるみたいだ。
さてと、と家に帰ろうとした時、2、3人の子供達がワイワイと嬉しそうに、こちらに寄ってきた。
ん???
何だろう、来ている服や、雰囲気、何かが違う。
昭和初期、いや、大正か、何だか普通の子達とは、違う格好に不思議な違和感を感じた。
すると、あれ!?
今まで、単に俺が気付かなかっただけか?
自販機の横に随分と古臭い駄菓子屋があった。
「今日は、何買う?」
「そうだね、〜菓子でも買おうか!」
聞いた事もない不思議な、お菓子の名を言っていた。
俺は妙に気になり、その店へと俺も入る事にした。
畳の様な匂い、古臭い壁、それに、どれも価格が、バカ見たく安い。
しかも、客は皆、先程の子供達の様に、着物?等を着ていて、現代とは何だか違う。。
万病を治す柿の種、、金を咲かせるチョコ、なりたい体重になる煎餅、、売っているお菓子も、プッと吹き出してしまいそうになるのばかりだ。
俺は何だか少し気味悪くなり、店をそそくさと出ようとした。
ん?
店の入り口に置かれている「タイムマシーン」と書かれた物に目が行った。
俺は少しだけ興味を持ち、触ろうとした。
だが、その時だ! 「ワッ!」
思わず声をあげた。
「タイムマシーン、気になったかの?」
いきなり、背後に背の丸まった、90歳近い老婆が来て、話しかけてきた。
「今なら500円にしちゃるよ、フォッフォッフォ。」
俺はとにかく、早く店を出たくて、だが、何も買わないのもあれなので、直ぐに500円を渡した。
「金の鍵もつけちゃる。フォッフォッフォ。じゃあ、良い旅をの〜」
金の鍵?
とにかく、俺は早く店を出たくて、タイムマシーンと言う玩具を買い外に出た。
何だったんだろう、、不思議な店だったな。。
俺は買える前にもう一度だけ、自販機の方を振り返った。
あれ!?
数分前まであった店は消えていた。
一体何だったんだろう。。?
俺は狐につままれた様な気分で家へと歩いた。
「優さん、おかえりなさい。今日も1日お疲れ様です。夕食は優さんの好きなカレーですよ。」
「ありがとう、海。」
彼女の顔を見て、どこかホッとした。
「大丈夫ですか、優さん、顔が、真っ青ですよ。」
そう言い海は、冷や汗をかいた俺の顔を優しくタオルで拭いてくれた。
そう、俺がいつも、日々を幸せに送れているのは、彼女の存在があるからだ。
大きな二重まぶた、可愛らしい笑顔、名前の通り、彼女と過ごしていると、大海に優しく包まれている様な、そんな温かい気持ちになれる。
本当に俺には出来すぎた彼女だ。。
俺達は2人で、カレーを、食べ終えると、シャワーを浴び、明日に備えて寝る準備をした。
海は俺の会社でのストレスが分かるかの様に、優しく俺の顔を彼女の胸元に当たる様に抱きしめてくれた。
あぁ、俺は何て幸せ者だろうか、、
どんな富や英世に比べても、この時間だけは、一番、世界で幸せ者に感じる。
そう海の代わりなんて他の誰にも出来やしない。
「お疲れ様、優さん。」
そう言い、海はまるで、幼子をあやすかの様に、俺の髪を撫でてくれた。
そんな優しい彼女が急に、愛おしくなり、俺は彼女の唇にキスをし、その晩、何度も海を抱いた。
互いの愛を育んだ後、俺は彼女の華奢な身体に布団をそっと掛けた。
そうして、冷蔵庫から冷たいお茶を飲もうとすると、会社後に、あの自販機で買ったコーヒーを見て、ふと思い出した。
タイムマシーンか、、
ププッ
何だか馬鹿らしくも感じたが捨てるのも、まぁ、あれなんで、俺はテレビの前で、適当に、そのマシンをいじった。
スタートボタン。。?
あぁ、これか、
500円にしては、随分と凝っているな。
少し感心しながらスタートボタンを押した。
すると!!
宙にスクリーンが浮かび、何か文字が描かれている。
ドノ ジダイニ イキタイデスカ?
ソノママノ オトシデ イキマスカ?
俺は驚きながらも、ふと昔、大好きだった、あの娘の事を思い出した。
んじゃあ、20☓☓年、歳は十歳で。
俺は適当に、そう打つと、新たにスクリーンに文字が浮かび上がった。
「分かりました、20☓☓年、年齢は10歳で。 金の鍵も必ず忘れない様に。それでは、良い旅を。」
ん??
すると、急に、ピカーッと辺りが光り、強い睡魔に襲われた。
どれだけ眠っていたのか、、
目を開けると、俺は夕暮れ時の、、、
何と通っていた小学校のグラウンドに立っていたのだ。
しかも自分の手や足を見ると、本当に10歳の時に戻っていたのだ!
「おーい、優ー!カエル捕まえたよ〜!」
当時の親友だった明(アキラ)がニコニコとして、俺に嬉しそうにカエルを見せてきた。
どうやら、俺は本当にタイムスリップしてしまった様だ。
「どうしたの?優?」
「いや、その、夕陽が綺麗だなって思って。。」
俺がそう言うと、明は、昔と変わらず、優しく笑っていた。
カー カー カー
もう一度、夕焼け時の空を見ると、山に帰っていくカラス達が、飛んでいた。
キュン
–
尊い
–
ぐっときた
–
泣ける
–
好きです
1
推しです
–
自分の作品にはスタンプを押せません
▽ 次のページへ
本文を編集
作品コメント
4件
作品コメントを入力…
R太郎
2023年10月30日
y.kato さん、いつも、読んで下さり、しかも、コメントまで、、、本当に嬉しいです! 本当にありがとうございます(*^^*) フフフ、何を隠そう、、私もとある駄菓子屋にて、、、フフフ! 次も速攻で載せるので是非是非、ご覧下されば、とっても嬉しいです(^^) R太郎(*^^*)
y.kato-channel
2023年10月30日
本当によく書けてる話ですよね! 好奇心を刺激する、 面白い作品だと思います! というか、 また読みに来ました! あなたもトラベラー? 岩瀬美里も?
コメントをもっと見る
ホーム
しおり
作品を探す
シェア
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます