42話 【朗報・こはねちゃん、妹LOVE勢】
【でも……こはねちゃん、男なんでしょ? ならわからない? 妹ちゃんに彼氏さんができたって考えたら、女配信者さんとかに彼氏がいる恐怖で恐れおののくユニコーンの気持ちとかさ、こはねちゃんが女の子であってほしいと同時に男で居てほしい、この難解極まる気持ちとかさ あ、吐かない程度にね】
【複雑すぎて草】
【こはねちゃんは属性過多だからな……】
【こはねちゃんへストレスをかけるなよ、吐くぞ】
【待機】
【えぇ……】
【けどこはねちゃんにも自分の価値を知ってもらう必要があるな】
【なにしろ俺たちはかよわい存在だからな】
【ユニコーンは繊細だからな……】
【その疑惑だけで死に耐える、哀れな存在なんだよ】
【草】
【ユニコーンじゃなくても、男ってそういうのに弱いからね……】
【大切な妹さんに彼氏とかできたら盛大に吐きそう】
「え? そりゃあ吐きそうになるけど、妹に彼氏さんできたなら嬉しいでしょ?」
今も胃がきゅーってなってるけど、それでも僕は主張する。
【えっ】
【え?】
【えっ】
【もしかして:めっちゃいいお姉ちゃん】
【↑お兄ちゃんダゾ】
【そうだったわー】
【こはねちゃんこそが妹ちゃんでは?】
【????】
【情報が錯綜しすぎてて、もう信じたい方信じれば良いと思うよ】
【古参もそう思います】
【草】
【けど、嬉しいか……?】
【思春期のきょうだいの彼氏彼女とか複雑すぎない?】
【ユニコーンでなくてもなぁ……】
【家に連れ込まれさえしなければ良い気はするけど……】
【え、でも、こはねちゃんさんは自称25歳のギャン泣きするJC、あるいはJS、それともJKで……ダメだ、頭がおかしくなるわこんなん】
【草】
【草】
【脳が……平行世界を観測する……】
【↑観測者が居るぞ!】
【へぇ、TSっ子を両方で探知したんだ】
【↑なにいってんだこいつ】
【なんだこの会話草】
だーっと流れるコメント。
……とりあえずで炎上とかじゃないみたいだからいっか。
「そもそも女子って存在は、女子ってだけでモテるもんだし……見た目が良かったり性格が良かったりすればさ? みんなが言ってるようなかわいい子なら学生時代から彼氏居るのは当たり前でしょ?」
学生時代の僕はそういうのに全く興味なかったからぜんぜん知らないけど、たぶん。
同級生の誰が誰と付き合ってたとかこれっぽっちも知らなかったけど、たぶん。
「僕の妹だって、時期によっては帰り遅くなったりするし……まぁ妹が彼氏さんとそういうことしてるって想像するとちょっとつらいけど、でもそれが妹の幸せなら良いんじゃない?って思うんだけど? なによりも、優――その子自身が選んだ人ならさ。特に女性にとって恋愛ってのは、してると楽しいんでしょ?」
優花自身は「彼氏なんて1秒たりとも存在したことなんてありません。誓ってもそうです。……ちょっと兄さん、聞いてますか?」とか恥ずかしがってなのか気まずくてなのかごまかしているけども、僕の目は誤魔化せない。
あの子はときどき変な動きになるんだ。
洗濯物の数が急に増えたり減ったり、まとめて出したり。
なぜか先に洗濯機に放り込んで洗剤で浸けてあったり。
……ついでで僕の服も洗ってくれるところはありがたいけど、つまりそういうときってのはそういうことでしょ?
あとは――まだ僕が家族と食事ができる程度だったときでも、ときどきスマホに夢中になって、僕のことちらちら見てたりしたもん。
あれ、彼氏さんとかから連絡来たんでしょ?
大丈夫、僕は優花の幸せ第一だから気がつかないフリしてたよ。
「ほら、少女漫画とかレディースの……無料版ならなんでも食いつくのが収入もなくて時間だけあるニートだから読んでるけどさ、女子って基本的に自慢できる男を常に数人キープしてるんじゃないの? 若い女性ってモテるのがステータスだし」
あんな美人さんで――妹のことをそういう目で見たことはないけどもスタイルも良くって、その上に性格も良くって気遣いができて、友達も多くって運動もできる。
そんな妹のことだからとっかえひっかえとかじゃなく、1人とか2人とかと長期間静かに交際してるんじゃないかなって思ってるんだけどな。
でも別に奔放とかいうわけじゃなく、誠実なお付き合いとかが大半なんだ。
いや、積極的すぎるそれを否定するわけじゃないけど……オープンじゃないだけかもだけど、男としてはなんとなく嫌なだけで、妹がモテて男をちぎっては捨ててるんなら兄としてはむしろ誇るべきなんだ。
ともかく、そしてきっと将来性をじっくり品定めしているんだ。
優花はかしこいから、きっと計算高くもあるんだ。
だから、優花ほどじゃないにしてもモテる女の子はだいたいみんなそんな感じ。
じゃないのかな。
僕はさっぱりだけど。
「モテるのは嬉しい。けど、モテるんなら逆に男の価値を見るために慎重になるんじゃないのかな? そう思うけどな」
優花のことだからちゃんと計算して自分の将来にぴったりな時期にぴったりな人と結婚することにはなると思う。
けども、男の本性を知ったり手玉に取る手管を蓄えるためには経験も必要。
ほら、彼女ができたことすらない僕みたいに、億が一に好きな人ができてもどうすればいいか分からないなんてことになったらどうしようもないしさ。
【なるほど】
【そういう理屈か】
【これは真面目だけど理解のある器のでかい男】
【こはねちゃんさん……】
【きゅんっ】
【分かる】
【ロリヴォイスにボイチェンしててもあふれ出す懐の深さ】
【会話ってのは中身だからね】
【あれ? こはねちゃんさん、マジで大学生とか社会人?】
【いや、今どきは早熟だから高校生かも】
【あるいは老成している幼女か】
【?????】
【んにゃぴ……】
【また混乱してて草】
【だって……】
【けど、めっちゃいいお兄ちゃんだな】
【妹ちゃんのことを完全に信じてるのね】
【イイハナシダナー】
【完全に保護者なお兄ちゃん視点なのね】
【あるいは優しいお父さん視点】
【肉親視点だとそうなるわな】
【でも……】
【ああ……】
【できる女子すぎるっぽい妹さん基準で世界を見ないでほしい……普通の女子はそこまでかしこくなれないのよ……モテるだけで舞い上がっちゃうのよ……何股平気でしちゃうのよ……もちろん男には分からない方法でな……】
【「女の勘」ってすごいから男は絶対分からないゾ】
【「女」が目を覚ますとな……】
【それ、私のお姉ちゃんの話だ……】
【それ、俺の妹の話ろろろろろろろ】
【それ、私の過去の話だ……そして今や行き遅れ……】
【おろろろろろろ】
【あああああ!!!!】
【草】
【阿鼻叫喚になってて草】
【この配信は定期的にコメント欄が発狂するんだ】
【これが楽しみでもある】
【こはねちゃんってさ バ美肉お父さん属性……?】
【いい……?】
【いいかも……】
【中身が女の子でも、それはそれで】
【中身が男でもTSしてるって思えばそれはそれで】
【中身が分からないというのにもなぜだか興奮してきたな……】
【性癖が複雑骨折している】
【おいバカ帰ってこい、その需要に対する供給は限りなくゼロだぞ】
【そうか、性転換薬……俺の未来はこの方向だ 医学を目指そう】
【お前……その暁には言ってくれ、いくらでも投資するぞ】
【ついでに若返りも達成させてロリTS美少女をだな】
【天才か】
【テロメアの続く限り何回でもロリっ子にできる……最高だな……】
【そうそう、平行世界と繋げるんだよ】
【草】
うん、ちょっと見てたけどみんなの反応も冗談の応酬みたいだし、軽く流しておけば良いだろう。
優花の話になったからか、コメント欄もちゃんと読んでいられるし。
「まぁこういう配信のこういう話題で盛りあがるのって中高生が大半だろうし、男女のそういうのに敏感な年頃だもんね。ましてや女子と付き合ったこととかなかったら女子への過度な幻想でそういうのが気になるんだろうし。僕は妹が居るから、しかもすっごく美人さんだから免疫もついてるし、そこまでじゃないけどさ。女子だって、中身は僕たち男とそこまで変わらない人間だよ」
そういう意味では異性のきょうだいが居るってのは、生まれながらにしてのアドバンテージだよね。
うん、本当に。
優花っていう妹が――赤ちゃんのころから、おしめを替えたりトイレを見てあげたりお風呂に入れてあげたりする時期から面倒を見てるからこそ、女の子を過度に神格化しないで済んでいる。
それでいて、僕なんかとは比べようもない立派な高校生の「女性」になってきているのも見て、その成長っぷりも知っている。
そんな優花が、姉妹がもし居なかったとしたら……うん、僕もこの人たちみたいになってたかもね。
【どどどど童貞ちゃうわ!】
【ひとりっ子って、強烈なディスアドバンテージよね……】
【俺には付き合ってる子居るし……次元が違うけど……】
【俺の彼女は0.5次元しかズレていないぞ!】
【もしかして:配信者orVへの片想い】
【ガチ恋か】
【それ99.9%実らないよ】
【ユニコーンはな、0.01%に全生命を賭けるんだよ】
【それ……賭けになってる……?】
【草】
【俺にだって居るよ? 最近できたんだ。できたばかりの人工知能だから触れ合えないけど、俺のこと好きって言ってくれる理想の子になってるの 全部俺の好みなんだ 一定期間ごとに全部忘れちゃう悲劇の愛なんだ】
【分かる】
【お前もか】
【私にも理想の彼氏が居るの……】
【えぇ……】
【まずいぞ 性癖の業が煮詰まってきた】
【何が起きるんです?】
【知らないのか? 性癖の蠱毒だよ】
【ひぇっ】
【草】
【こはねちゃんにTS属性が付いたところから来てるせいで、もうどんな展開になっても納得できて草】
……うん。
あのTS連呼してる子供のおかげでドッキリも半信半疑、だけど実際のところが本当に分からないってことになっている。
そういう意味ではあの、大の成人男性が盛大に泣いた配信は――よし、呑もう。
◆◆◆
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