兄こそすべて ~All I need is my brother~

三上ナヲミ

<プロローグ>

私のお兄ちゃんは、かっこいい。

控えめに言っても、世界でいちばんかっこいい。

もうね、神様が最高に手をかけて造形したんじゃないかってくらい完璧。


毎朝目覚めるたびに思う。

「うん、今日も推しが存在してる」って。


しかもこの推しは、遠い芸能人とかじゃない。

血が繋がってて、生活も一緒にしてて、たまに頭をくしゃって撫でてくる、唯一無二の存在。


お兄ちゃんは、見た目も中身も満点すぎてズルい。

長いまつ毛に、アーモンドみたいな形でキリッとした目。

絶妙に整った小さな顔。

長い脚、広い肩、程よい筋肉。

声もいい、頭もいいし――


しかも昔からぶっきらぼうで口が悪いのに、めちゃめちゃ優しいのも本当ズルい。

猫のミネコを拾ってきたのもお兄ちゃん。

ミネコを膝に乗せて、長い指で背中を撫でているところなんて、

「誰かフィギュアにして!」って思うほど尊い。


なんだかんだで勝ち取った、二人と一匹の生活。

それは、最高に幸せだ。

これって「私もう嫁じゃね?」みたいに思うこともある。

苗字も同じだし。当たり前だけど。


そんなお兄ちゃんに比べたら、他の男なんて目に入らない。

私にとって男とは「お兄ちゃんとそれ以外」って感じなんだから。


考えてもみて!

スパダリが、常にこの至近距離で生きているんだよ?

そりゃあ、恋愛の基準値が上がりまくっても仕方ない。


ああ、お兄ちゃん大好き!


「お兄ちゃんが誰かと結婚する未来」なんて、そんなの想像しただけで酸欠になりそう。

この暮らしがずっと続けばいいのに。

できればずっと、ずーっと、私のそばにいて。


……ねえ、お兄ちゃん。

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