第18話
さすがに190cmはあろう、冷淡系美人魔王サマを、犬猫みたいに匿えないだろうから
お父様と執事長に「新しく従者雇用しても良いですか?」って許可をもらおうと思う僕です!
お父様にお時間があるかお伺いを立てて、僕と侍女ズ、
それから魔王サマと一緒にお父様の公務室に来たよ!
「ふむ!確かにお前のところは、もう少し従者を増やしても良いと考えていた。良し、許可しよう。そのほう名をなんと申す。」
「…無礼だな、焼き尽くしてくれよ……――ふぐっ?!」
魔王サマのお腹辺りに、思いきり頭突きをする。
無礼も何も、身分を開示してない魔王サマより、現段階でお父様の方が身分が上だよ!
……魔王×亡国の王?なんかいいかも!!
魔王サマは恨めしそうに僕を見つつ、ボソッと「…ローガン・レクス」と呟いた。
魔王サマの本名、初めて知った!!
「なに?封印された魔王と同じ名ではないか、かの災厄と同じ名をつけるなど、物好きもいたものだな。」
「…余こそが魔―――ぐっ?!」
はーい、頭突きもう一丁!!
「はい!自分のことを、魔王だと思ってる系従者です!」
「…余を下僕扱いだと?!」
「過去の記憶がない、魔王だと思い込んでる系従者です!!!」
「モゴモガ!(侍女ズに押さえつけられている。)」
……三人のサキュバスに、手篭めにさせる魔王サマ……良いかも!
でも、女性攻めって好き嫌い別れそうだなぁ
そして、僕が新しい従者を連れてきたのが、お兄様方の耳に入ったらしく
ぞろぞろとお兄様たちが、お父様の公務室に入ってくる。
情報出回るのはやぁ!
「……おい、チビ。お前どこから、その変なのを拾ってきた?俺らにも王族のメンツというのがあるんだぞ。」
最初に入ってきたのはライリー兄上。
城下町のなんちゃってチンピラなら、逃げ出しそうな目つきだなぁ!
「そうだよ!従者だってある一定の教養や所作を求められるんだからね!」
次に入ってきたのが、アイゼア兄様。
僕を説得しようとしてるのかな?あいも変わらず天使の様なお姿だなぁ。
「そうだぞ!!こんな得体の知れないやつ!!」
次は、ワイアット兄様だ。
ふふ、小型犬が威嚇してるみたいで、可愛い!
「…………」
最後に入ってきたのはリアン兄上。
魔王サマの顔を真顔でジッと見つめてる。
えっ!惚れた?!惚れちゃった!!?
「……なんだ?貴様ら、余に戦いを挑むつもり―――ぐッ!?」
戦闘準備になりそうな魔王サマに、もう1回頭突きを食らわす僕。
腰に差してる剣に手をかけるのが1番早かったのは、意外にもリアン兄上だった。
……むむむ?……キタ!!
完璧執事(魔王サマ)×未亡人花屋(リアン兄上)
余裕なし勇者(ライリー兄上)×余裕あり魔王(魔王サマ)
冷酷天使(アイゼア兄様)×不器用堕天使(魔王サマ)
ドS鬼畜義兄(魔王サマ)×無自覚ドM義弟(ワイアット兄様)
脳内に次々と、カプが溢れ出す。
こうしちゃいられない!!早く描かなきゃ!!
侍女ズに目線を送り、パンッと手を叩く。
侍女ズが魔王サマを抱えるを確認したあと、
「お父様にも許可をいただきましたし、用事を思い出しましたので、僕はこれにて失礼させていただきますね。」
少し早口で言って、止めるお兄様方の声を無視して部屋に戻る。
エマっ!エリっ!エナっ!今日は缶詰だよ〜!!
あっ、魔王サマも作画の方に入ってもらいますね!
執事長には部屋に戻る時に
「これ新しい僕の従者〜!よろしく!!」で許可をもらった。
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