第20話

 すると、星が屋根の上に姿を現した。

 その影は二つ。

 まさか、もう一つも裏に隠れてたの⁉

 星たちは一列に並ぶようにして、ますますスピードを速めていく。

 うわあっ、全然言うこと聞いてくれないよぉ!

「借りるぞ!」

「あ、ちょっと。何するの!」

 きゃあっと悲鳴が上がる。

 見れば、昴琉が飼育小屋に入って、掃除道具を両手に構えている。

「もうにげられないぞ!」

 ま、まさかガードしてるつもり?

 私はあ然としたけど、星たちも戸惑ったみたい。

 急転換して今度は私のほうに向かってくる。

「梨杏! 捕まえろ!」

「え、ええ⁉」

 私はその場であたふたする。

 そんなこと言われても、無茶だよっ!

 そもそも、星ってどう捕まえればいいのーー⁉

 見る間にビュンッと飛んでくる。

 あわわわわわわっ。

 その速いことといったら。

 高速……っていうか、光速だっ!

「うわあっ!」

 星が急に方向を変えて空に向かって上昇した。

 私のそばをポラリーが横切っていく。

「今度は僕が!」

 ポラリーは影を追いかけるように弧を描いた。

「いいかげんっ、姿を現してください!」

 ポラリーが叫んだ瞬間、あたりに光が広がった。

 な、なにこれ⁉

 私はあまりのまぶしさに思わず目を薄める。

「な、なんだありゃ」

 昴琉がぽかんと口を開けて飼育小屋から出てくる。

 光はだんだんと収まっていって、そのかわり、私たちの目の前に二人の人の姿が現れた。

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