ネコマタ・タイムリープ~俺の運命を変えたい黒髪の猫耳美少女がベッドから逃がしてくれない!~

雪村灯里

#1 未来からきたネコ

雨が降る夏の夜、主人公は自室のベッドに寝そべり、腹の上で寛ぐ黒猫を撫でる。


//SE しとしとと雨が降る音

//SE 蛙の鳴き声(フェードアウト)


//SE 猫が甘えるように鳴く

//SE 猫が喉をグルグルと鳴らす


//SE 時計の秒針の音(10カウント・次第に大きく)


//SE リィン――澄んだ鈴の音(⁠秒針のカウント終了直後)

//SE ぼふーん!――変身した効果音


先程まで黒猫がいた場所に、ヒロインが現れる。(⁠黒猫が、人間の姿になる)


//寝起きのように状況が掴めない感じで

「にゃあ~?」


//次第に状況を把握して嬉しそうに

「やった……? 成功……した? わぁ……ニンゲ〜ン!!」


主人公に抱きつくヒロイン

//SE ガバッ――衣擦れの音


//(左耳)感動を噛みしめるように

あたたか~い」


//演技依頼// すんすんと主人公の匂いを嗅ぐ(左耳裏1秒程度)


「はぁ~……この香り。……やっと会えた~。うれしい」


//SE ガバッ――衣擦れ

主人公に引き離されるヒロイン。主人公の腹に跨って座ったまま答える。


「えっ?『君は……誰だ?』って……えぇ~~~?? 酷いなぁ~。いーっつも、一緒に寝てたじゃない? 私だよ~? 分らない?」


ヒロインは顔をぐっと耳元に近付ける


//(右耳)妖しげに囁く

「可愛い三角形の耳と、この手入れが行き届いた、つやっツヤな黒い毛並み……」


//SE(左耳)ふさぁ――尻尾で耳を優しく撫でる


//正面に戻り、主人公を覗き込むように

「『宝石みたいでキレイ』って褒めてくれた、この黄色い瞳に見覚えなぁい?」


(3秒静寂)


再び体を起こすヒロイン

//SE 衣擦れ


//残念かつ悲しそうに

「ええぇ~?『ない』って、そんにゃ~」


主人公、キョロキョロして部屋の様子を伺う。


「キョロキョロしてどうしたの? ――なんで、そんな胡散うさん臭そうな顔するの?」


「『カメラはどこだ』って? ――んも~! ちにゃうちがう! 動画のネタでも、ドッキリでもにゃあい!」


「私は正真正銘、君に飼われてる、猫の『クロ』ッ!」


(3秒静寂)


「あーっ……。そのジトッとした視線。全然信じてないな~? いいよ? 証明してあげる。私、ニンゲンの事なら、なぁ~んでも知ってるんだから。まずはね~」


//SE ぽんぽんとベッドを叩く音


「このベッドでゴロゴロするの、好きだよね? そして眠る前は……私を撫でてくれて~……お尻もトントンしてくれるよね? あれがと〜っても気持ち良くて……――ん? どこ見てるの?」


主人公から『何でそんな格好しているんだ!?』と問われるヒロイン。


//不思議そうに

「かっこう? この服、ニンゲン大好きでしょ?」


「『何で、俺のへきを知ってるの?』――って……ニンゲンは、よく見てたじゃない? こ~んな服を着た、女の人のシャ・シ・ン♪」


//微笑みながら

「どう? 似合ってる?」


主人公、恥ずかしそうにヒロインから目を逸らす。


「むぅー……目を逸らさなくてもイイじゃにゃい」


//何かを思い出したように

「あっ! そうそう。あとは『猫吸い~~っ!』って、私の体に顔押しつけるのも好きだよね? ほら、こ~んなカ・ン・ジにっ」


//SE ガバッ――衣擦れの音


ヒロイン主人公の頭に抱きつき、心音を聞かせる


//SE 心音(約五秒)


//切なそうに

「どう?……信じてくれるかな?」


//SE トントントン(素早くヒロインの肩をタップされる音)×2回

//SE ばさっっ――衣擦れ


主人公に肩を掴まれて、離されるヒロイン


「え? どうしたの? ニンゲンの顔、真っ赤だよ? なになに?……『モフモフしないから……苦しい?』」


ヒロイン、自分の胸を見て確かめるように胸元をぺちぺちと叩く

//SE ペチペチ


「ああー……そうだね? これじゃ吸えないよね?? ごめんね。……え?『吸えるけど……』って、も~う。どっち? ニンゲンって、ワガママだなぁ~~」


//ため息

「はぁ~~……」


「なんか、どっと疲れちゃった~~」


//主人公に這い寄る。気まぐれな猫のような感じで

「……ねぇ、ニンゲン? 私、喉が渇いちゃった♡ お水ちょうだい?」



//SE グラスの中の氷が鳴る音

//SE テーブルにグラスが置かれる音


//グラスを見て静かに感心する

「おおー……」


//SE グラスに水が注がれる音~注ぎ終わる


//嬉しそうに

「わぁ~……いただきます!」


//SE ゴクゴクと水を飲む音


「はぁ~。冷たくておいしぃ~♡ ――ん?『君の事を、詳しく教えて』って?」


//SE テーブルにコトンとグラスを置く音


「いいよ? じゃあ~~……改めまして。私は黒猫の『クロ』。今よりず~っと未来から来たの」


「この姿?――これは【妖術・変化】。私、長生きして妖怪になったんだ~♪ だからこうやって人間の姿にも化けられるの。すごいでしょ~? そう【妖怪・猫又ねこまた】。ほら、見て? 尻尾が二股に分かれてるでしょ?」


ヒロインは尻尾を掴み、主人公に見せる

//SE しゅるり――ヒロインの手の中で尻尾が擦れる音


「『なんで、未来から猫又がやって来るか』って? これは【妖術・時渡り】を使ったの。分かりやすく言いうと、タイムリープってやつだね」


//真剣な口調で

「――そして、ここにきた理由は……これから、ニンゲンに降りかかる災いを、払いのける為だよ?」


//SE 激しい雨の音

//SE 時計の秒針(3カウント・フェードアウト)


//SE ピローン♪――スマホの通知音A


「ほら、来た。これが、君と私の運命を変えるメッセージ」

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