第29話 魔法学院での特別講義 -4
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10. 講義の結末と学長の評価
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講義室が瓦礫の山と化し、生徒たちが興奮冷めやらぬ中で、学長が姿を現した。フィーネは、学長に怒られることを覚悟し、胃を押さえる。
「学長!申し訳ございません!講義が……その……」
「いや、フィーネ様。素晴らしい講義でした」
「えっ!?」
学長の言葉に、フィーネは目を丸くした。
「イリス・ヴィクトリア様の講義は、我々魔法界に新たな風を吹き込むものでした。特に、貴女たちの『カオス理論における予測不能な収束』の実演は、生徒たちに大きな衝撃を与えました」
「生徒たちの瞳が、これほど輝いているのを見たのは、初めてです」
学長は、感動した様子で語る。フィーネは、その言葉に呆然とする。
「まさか……褒められるなんて……」
「ええ。今回の講義は、大成功でした。ギルドの評価も、間違いなく上がることでしょう」
学長はにこやかに微笑んだ。フィーネは、その言葉に安堵の息を漏らす。
「は、はい!ありがとうございます!」
フィーネの胃の痛みは、一瞬にして吹き飛んだかのようだった。
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11. ギルドでの収支報告とエルザの腹黒い笑み
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冒険者ギルドの受付カウンター。フィーネは、頭を抱えながら、今回の特別講義の収支報告書をエルザに提出していた。
「エルザさん!信じられますか!?
講義室の修繕費がとんでもないことになってます!」
「まさかの大赤字ですよ!私の苦労が報われません!」
フィーネは机に突っ伏し、半泣きで訴える。エルザは報告書をちらりと見て、にこやかに微笑んだ。
「ふふふ……でも、あなたたちのおかげで、王立魔法学院の生徒たちが、あなたたちを慕うようになりましたわ」
「えっ!?」
「彼らは、将来の魔法界を担う人材ですもの。あなたたちの成長は、何よりのギルドの財産ですわ」
エルザの言葉に、フィーネは顔を上げて食い下がった。
「人材育成!?こんな大赤字がですかーっ!」
「ええ。これは、人材育成への投資ですわ。あなたたちの成長は、何よりのギルドの財産ですもの」
「人材育成!?こんなにコストがかかるんですかーっ!?」
エルザはそう言って、口元だけで笑った。
ギルドの奥からは、アリスの歌声が響いてくる。
「〜♪ハチャメチャ講義は大成功〜、生徒たちは覚醒し〜、ポンコツだけど最強の絆で〜、世界を救う物語は続く〜♪」
アリスは、今回の冒険をすでに伝説として美化し、高らかに歌い上げていた。フィーネは、その歌声を聞きながら、再び机に突っ伏すしかなかった。
「もう、いや…」
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