第二章 学園
第6話入学
4年間で更に領地は発展し、王都と遜色ない商業街と、農地と塩や砂糖作成の農地エリアに分かれたよりスマートな観光地となってお金を落として貰えるようになった。塩や砂糖も順調に取引が続いている。
私とお兄様は護身はばっちりこなせるようサイから叩き込まれ、学園の行き来にはサイが護衛に就く事で無事お兄様は学園に通えている。私兵を雇いなおしてサイから手解きをして貰い、うちの領の私兵はかなりの錬度で他家からの影も捕らえられるようになり、身辺警護もがっちりこなせるように鍛えなおした。
暗殺に来た者も、乗っ取りに来た者も、全て逃す事無く
更に『この領に手出しをした者は生きて帰れない』という噂が立つ事で、とうとう滅多なことでは暗殺者が差し向けられる事はなくなる。
親族会議などでも2人で出席し、私達を軽んじた者には相応の報復を受けてもらう。年齢の事でお兄様の立場を悪くしようなんていう動きはいくつもあったが、実力で黙らせた。エッケンの使えなさが幸いし、私の内政手腕はかなり上がっている。そうでなければ、そもそも領地開発に成功したりしていない。
お兄様は主席入学を果たし、新入生代表の挨拶をする事になった。私はこっそり見に行った。お兄様の甘いお声で挨拶が紡がれると、美しいお顔も
「今日はそんなに長い時間学園にいる訳じゃないから、サイと一緒に私を待って一緒に帰ろうか?」
「勿論です、お兄様!」
ぎゅうっとハグをして髪にキスを貰ってから包容を解く。お兄様は列へ並びに戻られた。一気に私に敵意の視線が集まるが、『やるってんのかこのメス共!!』と気合の入った威圧を掛けて睨み返すとしゅうんと
サイには特にレイニーアに気をつけるよう言い含めておいた。私の居ない場所でお兄様が一人になる事もあるだろう。あの女は一度誘拐未遂を起こしている。またやらかすと思っておいた方がいい。年齢が上がるほどに
宣言どおり、思ったより早く戻られたお兄様と馬車を御一緒する。ぞろぞろついて来ていた女共は「お兄様!」と抱きついた私を受け止め、頬にキスしてくれたお兄様を見て敵意を燃やし、そして私の”受けて立ってやる”眼光と威圧でたじろいで動きが止まった。その間にさっさと馬車に乗り込んで馬を走らせる。
デビュタントは申し訳ないが、私が入学するまで待って欲しいな、と伝えると、勿論待っているよと返事をしてくれた。別の女をエスコートし、踊るだなんて、有り得ない。そんな事があったら嫉妬でその女に
多分今日見た女共にわんさかと言い寄られるだろうが、
――が、2ヵ月後、早々に開かれたその夜会に行かず、私と一緒に居て下さった!感動した私はちょっと泣いてしまい、心配したお兄様がずっと抱き締めてくれていた。
そしてお兄様には「ヤバい妹がいるらしい」「シスコン」などという汚名がついてしまった…。私の事はなんと言われても構わないが、お兄様がそんな風に言われてしまうのは心底心外だ。お兄様に謝って、なんとか噂をどうにかしようと思ったのだが、お兄様に止められた。
「実際私はシスコンだから、言われても当然で、むしろ誇らしいんだよ、アリル」
「えっ…あ…そ、そうですか…」
にこやかに告げられ、私は真っ赤になってしまう。シスコンが汚名じゃなく誇らしいとは、思ってもみなかった。
そしてそう言われてみて確かにお兄様はシスコンなのだな、と思った。嬉しい。もっとシスコンを
そして1年経過し、私の入学の日、お兄様と私は同じ馬車で学園に向かう。学園に近づくにつれ、やたらと注目を集め観察されている事に気付く。聴覚を強化して聞いてみると…。
『あれよあれ、ヤバいって噂の妹さん…見た目は普通…というより美人よね』
『やめてよ、性格がダメなら容姿なんか関係ないわ』
『お兄さんにべったりで相当
『妻じゃあるまいし、
『だってデビュタントの夜会に参加しなかったのは、妹さんに頼まれて一緒にデビュタントとファーストダンスを踊る為だって聞いたわ』
『そんな妹ありえないんですけど…デュランドロード様…御可哀想に…振り回されていらっしゃるのね…』
『たった一人の家族だとはいえ、兄が優しいのを良い事にちょっとのさばり過ぎですわよね』
なるほど。良かった。私の悪評ばかりで、お兄様は妹に振り回された被害者的立場で落ち着きそうだ。公爵当主・柔らかい物腰・美貌と揃ったお兄様だから、女が寄って来て、お兄様に問題があるようにいう事はない。これはお兄様の人徳のようなものに違いない。
「…アリル?どうしたのそんなにボーっとして…学園は緊張するかい?」
急にお兄様の声が響いて、私は慌てて聴覚強化を解いた。
「いいえ、これからはお兄様と一緒に学園に通えて馬車もずっと同乗できるなんて、夢みたいだなと思っておりました」
ぱっとお兄様へと振り向き、笑顔になる。いつ見ても、何度見ても、見飽きることのない兄の美貌にうっとりする。お兄様は私の方が美しいなどと言うけれど、私からして見れば自分の事を解ってないだけだ。私は…まあ、普通よりは少し容姿がいい、程度のものに過ぎない。身内
馬車止めに着くと、わらわらと遠巻きにこちらを眺めている女子生徒に紛れ、こちらに突進してくる女生徒が居た。 私のエスコートをして下さっていたお兄様は片手でその突進
ちゃんとサイの教育が実になっていて嬉しい限りだ。
そのままエスコートで新入生の挨拶をする講堂まで送ってくれる。後ろで壁にぶつかった生徒の
主席入学した私は新入生代表挨拶をする。何故か男子も女子も生徒が落ち着きないように感じたが、挨拶は滞りなく終わらせた。
そこから教室へ全員で移動する際に、階段でわざとぶつかって来ようとする生徒が居たのですっと避けると、バランスを崩したその生徒が転がり落ちる。言うまでもなくレイニーアである。
彼女は落としたのは私であると頑として主張を曲げなかったが、登りの階段移動中に私は後ろに位置しており、引き
レイニーアの主張は通らなかった。因みに壁にぶつけられたり階段から落ちたりしているのに怪我をして居ないのは凄い特技だと私は思った。同クラスにはなりたくなかったが、それなりに勉強していたようで、成績順でクラスの決まる学園で同クラスになってしまった…。だからと言ってお兄様の妹である私が成績を落すなんて考えられない。レイニーアが早く勉強に飽きるよう祈る事しか出来ない。
いっそ死ねばいいのに。
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