主人公不在のラブコメRPG~聖女に転生したのに勇者不在とかマジですの!!??~
四盃口
プロローグ
とある農村に男の子が生まれた。子どものうちから両親のいうことを良く聞き、昼は父親の畑仕事に精を出し、夜は母親の手伝いをするという何とも親孝行な息子であった。やがて成長すると魔法の才能を発揮して村の中でも一番の戦士となり、やれ将来は騎士様だ、いや魔術師だ、などと毎日のように将来を期待する声が周囲から上がっていた。本人も周囲から褒められまんざらではなかった。
そんな少年の村を魔物の群れが襲ったのは彼が生まれて10年の月日が経った頃である。
「クソっ、
魔物の一体が倒れる。少年が放った魔法は一撃でモンスターを葬れるほど威力の高いものであったが、群れを前にして余りにも数としての差があった。実際少年はここまで大量の魔力を消費しており、肩で息をしていた。その隙を狙って別の魔物が飛び掛かってくる。
「しまっ…」
少年はモンスターの攻撃を喰らってしまう。痛みに肩を抑えて膝をつく少年になおも迫る怪物は
「危ない!
突如横から飛んできた氷塊に驚き少年から距離をとった。その間に立ち上がった少年に一人の少女が駆け寄ってくる。
「大丈夫…って怪我してるじゃない!今治すわ!!」
そう言って少女は懐からポーションを取り出そうとするが、その手を少年が制した。
「いや、そんな暇はないみたいだ」
みれば魔物はさらに数を増し少年と少女に狙いを定めていた。
「嘘…ハイウルフまで」
うろたえる少女を見た少年は、覚悟を決めた様子で首のペンダントを引きちぎり少女に渡す。
「アル、これを持って逃げろ」
「何言ってるのよ!!あなたも一緒に行くに決まってるじゃない!!」
「2人で逃げてもいずれ追いつかれる。幸いこいつらの狙いは俺のようだしな」
「幼馴染を置いて逃げられるわけない!!!」
「いいから行け!!」
少年の剣幕に押されたアルと呼ばれた少女は一瞬の躊躇の後、ペンダントを受け取り走っていく。
「ハハ、やっぱり早いな。僕が敵わなかっただけある」
再びウルフの群れに向き合った少年は腰に差した剣を抜き走り出す。
「悪いが俺はまだ死ねないんだよ…!!」
こうして名も無き村が一つ、魔物の襲撃で滅んだのであった。
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