十二月一日
とうとうロッカー工場の労働を辞めた。昼過ぎに出勤して辞意を告げると帰る頃には「明日から来なくともよい」と言われた。相当使い物にならなかったのだと再確認した。辞めたいと常々思っていてそれが実現したのだからもっと気が楽になっても良い筈なのに、胸中はただ暗澹としている。どうしてもっとうまく立ち回れなかったのか、どうしてもっと忍耐強く仕事を続ける気になれなかったのか、そんなことばかりが気にかかる。気にしたってどうにもならないのに、ね。
思い返してみればロッカー工場での労働が始まったのは九月であったからおよそ三か月の勤務であったわけだ。たった三か月。もう少しなんとかならなかったのかと自分自身に詰問したくなる。結局私はこの三か月で自分がいかに役に立たない者か、ということを知っただけだったのだ。この経験は少し、困る。私の財政からすれば直ぐにでも新しい仕事先を探さなければならないのだが、今回のことで少し、それを躊躇してしまっている自分がいるのだ。どうせ次も上手くゆかない。また自分の劣等を自覚するだけだ。そんな思考が脳裏に拡散されている。
もはやこれまで。なん度もそう思って来たがとうとう今回ばかりは終着駅ではないかしら。きっとこれからの私は一歩を踏みださなければならないのにそうできないという懊悩に苦しむことだろう。結局私はどのような道を歩いたところで悩みから解放されることはないのだろう。ロッカー工場に勤めていた頃にはここを辞めてしまいさえすれば幾らか清々しい心持になるのかもしれないと思っていたものの、いざそうなってみれば財政難と自分の能力不足を思って思い悩むことになっている。どうしたって、何か悩んで生きてゆかなければならないのかと思うとため息も出ない。
何も手につかない無力感。今日はもう、書くのを止す。
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