ep.12 温泉
「はあ…」
僕はコーヒーを飲んでため息をついた。僕が今いるのは僕が元々いた世界、僕はこの世界を四の世界と呼んでいるがそこでやる事があるので留まっている。
どこかの本に書かれていたが世界は十一個あり、その本の著者は観測したらしい。その著者が言うにはアリアが住んでいる世界は五の世界だと本に書いていた。だから僕もその世界のことをそう呼んでいる。
僕が この世界に留まっているのはまあ、たいした理由は無く、お金を稼げるからそこにいる。僕はタワーマンションの高層階に住んでいるので街の夜景をよく眺める。ビルやマンションが並んでいて遠くには東京タワーが光っていた。
僕は今日ある人と会う約束をしていた。
「行くか…」
僕はそう言い身支度をし、家を出た。
僕はとある雑居ビルに向かった。
今日は雨が降っていたので傘を持っていった。
「傘をお預かりします」
僕は目的地に着き、外にいた人にそう言われたので傘を渡した。僕は雑居ビルに入った。店に入ると中は真っ暗だった。この階はピンサロなので部屋は暗い。僕はそのまま中に案内され、通路を真っ直ぐ進んだ。奥の突き当たりで隠れていたエレベーターに乗り上の階へと向かった。エレベーターが開いたので僕は進んだ。
「久しぶりだな。ヨミ。まあ
僕はそう言われ、ソファーに座った。
「お前を呼んだのは他でもない殺して欲しい奴がいるからだ」
「誰ですか?」
僕はそう言い、机に置かれているお茶を飲んだ。
「天王寺会、会長坂口を殺して欲しい」
組長である
「五千万でどうだ?」
「すみませんが、お断りさせて頂きます」
柊にそう言われ僕は断った。
「テメエに拒否権はねえんだよ!」
ソファーの周りにいた若い奴が僕に向かって来て胸ぐらを掴んだ。
「吉田…」
若頭はその若い奴の名前を呼ぶと其奴を僕から引き離し、殴り飛ばした。
「悪いな、ヨミ」
若頭の斉藤はそう言った。
「僕、最近お金に困っているんで、一億でどうです」
「わかった。一億出そう。やってくれるんだな」
「ええ」
僕はそう答えた。
組長に坂口についての事を詳しく聞いて、僕は坂口をどう殺すか考えた。坂口を殺すには何人か人員が欲しいので頼んだ。銃や車も必要なので頼んだ。
「ではもう、いいかね」
「金を積めて持ってこい」
組長はそう部下に言うと部下はアタッシュケースに金を積め机の上に置いた。僕はアタッシュケースの中のお金を数え、アタッシュケースを閉めた。
「では、僕はこれで失礼します」
僕はそう言うと立ち上がり、部屋から出てエレベーターに乗り下の階に行き、店の出入り口へと向かった。
店の出入り口には僕の傘を預かっていた男が居て預けていた傘を僕に返した。僕は傘を受け取ると自宅へ傘をさして戻った。雨はまだ降り続いていた。
天王寺会の会長である坂口を殺す日が来た。
坂口は朝早くから黒塗りの高級車に乗って行くので僕はその日に坂口を殺す計画を実行した。
僕を入れて三人で殺しを決行した。車は二台用意した。僕は二人で車に乗り僕は後部座席に乗った。もう一人は一人で車に乗った。
「今日も良い天気だなあ」
「良い天気ですね」
後部座席にいた坂口の独り言に運転手は答えた。
「何だあの車」
坂口は高速道路で車線を変更しても塞ぐ車がいるので苛立っていた。
「スピードもっと出せ」
坂口はそう言い、運転手は車のスピードを上げた。前の車もスピードを上げた。
「あの車、中々退けないな」
その次の瞬間、坂口は何が起こったのか理解できなかった。前にいた車は急ブレーキをし坂口が乗っている黒塗りの車に衝突した。
二つの車は停車した。早朝だったため周りには車は無かった。
「何が起きたんだ。畜生」
坂口はそう言い車から出ようとすると左車線に車が止まった。坂口の車の真横だ。
「うわあ、何だ何だ」
横に停車した車から人が二人降りてきて拳銃で撃ってきた。ヨミは坂口に向かってサブマシンガンを撃った。
坂口の車の窓ガラスは割れ、ドアも穴だらけになった。
「死んだな」
ヨミは部下とともに坂口の車のドアを開け中を確認した。坂口と運転手は死んでいた。
ヨミと部下二人は車に乗り、その場を去った。
今日、僕ら家族とルナは四の世界、僕が幼少期過ごしていた世界に来ていた。
僕の大切だった人、アリサの墓参りに来ていた。墓に飾られている花を取り替え、墓に水を掛けた。
「来たよ、アリサ…」
僕は線香に火をつけ墓に置き手を合わせた。
その後、一人ずつ線香を上げた。
「よし、温泉に行くか」
僕はそう言い、僕らはゲートを通り、温泉に到着した。
「ここが温泉?」
エリナは僕に聞いてきた。
「ああそうだ。デカいだろ」
僕はそう言い、僕たちは温泉施設に入った。
「こんにちは、七名でお願いします」
「ヨ、ヨミ君じゃないか!」
僕はカウンターでそう言われ、受付の人の顔を見た。
どこかで見た懐かしい顔だった。
「お久しぶりです、工藤さん」
僕はそう言った。工藤さんはアリサの家の執事だった人だ。
「良かった。生きていたんだね」
工藤さんは、僕の近くに来て手を握り泣きそうな声で僕にそう言った。
「ヨミ君、行方不明になったから心配していたんだよ」
工藤さんはそう言った。
「ああ、そうなんですか…」
僕はそう言った。
「アリサお嬢様の事はお気の毒でしたね」
「ええ、まあ…」
工藤さんは泣きそうな顔をしていた。
「私は犯人が憎い。あんな事が無ければ」
工藤さんは手に顔を当てそう言った。
「ヨミ君はもう大丈夫なのかい?」
工藤さんは僕にアリサの事で前に進めていないのか心配で聞いてきた。
「気持ちの整理はつけました。もう過去のことですから」
僕は心にも無いことを言った。
「ヨミ君は強いね」
工藤さんは悲しそうな顔をした。
「あれから藤井家はどうなったんです」
僕は気まずくて藤井家にはずっと顔を出してなかった。
「全員、亡くなったよ」
「えっ…」
意外な応えに僕は驚いた。
「アリサお嬢様が亡くなったあと奥様は病気になられてお亡くなりになられて、そのあとご主人様は後追いで自殺を」
「そうですか…」
僕は平静を装っているがショックを隠しきれなかった。
「工藤さんは今はここの従業員やっているんですか?」
僕は話を変えるように言った。
「ええ、執事をやめた後はここで支配人をやらさせて貰ってます」
工藤さんはそう言った。
「そちらはご家族の方ですか?」
工藤さんは僕の後ろにいるアリア達を見てそう言った。
「ええ、僕の家族と友人みたいなものです」
僕はそう答えた。
「ヨミ君、元気そうで良かった」
工藤さんはそう言って安心したような顔をした。
僕は財布からお金を出し払い、僕等は浴場へと向かった。
「じゃあね」
アリア達は女風呂に僕は男風呂に
(懐かしいな)
僕は体と頭を洗い、湯船に入った。久々の温泉だ。僕はこの温泉を気に入っている。アリサによく連れられ行ったものだ。僕の中に溜まっていた疲れが取れていくようだった。僕は十五分。その湯船に浸かると露天風呂があるので湯船から上がり、露天風呂の扉を開け、露天風呂に浸かった。
「はあ、気持ちいい」
僕は露天風に浸かりながら空の景色を見て冷たい風が顔に来るのを感じながら湯船に浸かった。僕は露天風呂の石に背中を預け、露天風呂を満喫していた。露天風呂は四十分浸かり風呂から上がった。
脱衣所で服を着て脱衣所から出た。目の前にはテーブルとソファーが並んでいた。僕はそこに座った。僕は立ち上がり、コーヒー牛乳とソフトクリームを買いに行き、お土産屋さんに置かれている冷蔵ショーケースとアイスショーケースから取り出しお金を払い買った。僕は再びソファーが置かれている場所に行き、座った。
ゴクゴク。
僕はコーヒー牛乳を飲み一息ついた。
「旨い」
僕はソフトクリームを開け食べた。僕はバニラ味を買った。食べ終え、そうしている内にアリア達は上がってきた。アリア達も僕がソフトクリームを食べていたのを見て羨ましがり、僕は財布を渡した。アリア達はお土産屋さんに買いに行き、お土産屋さんで買い終え、ソファーに座り食べたり、飲んだりした。
「帰るか」
僕らは三時間その場にいてもう疲れは取れたので帰ることにした。
温泉施設から出てゲートを通って五の世界に戻った。
「はあ…、はあっ…」
小雨が降る暗い夜の日、ドレイクは誰かに襲撃され手傷を負い、血だらけになった。
「悪いがお前は死ななければならない」
どこかで聞いたことのある声でフードを被った男はドレイクにそう言った。
フードを被った男は暗くて顔が見えなかった。
「見逃してくれ、頼む」
「いや、駄目だ」
男はドレイクの命乞いを拒否した。
「さようならだ。ドレイク」
フードを被っていた男は剣を振り下ろそうとしたら雷が鳴り、光った。
「馬鹿な…。お前は死んだ筈」
ドレイクは雷が光った一瞬死んだ筈の人間を見た。
そしてドレイクは殺された。
僕はエリナと町で買い物をして家に帰ろうとしていた。前からエリナの顔に向けて風魔法が向かってきた。僕はそれに気づき、左手をエリナの顔の前に出し、それを防いだ。
「!」
エリナに放たれた風魔法を僕は防ぎ、僕の左手は血だらけになった。僕の血がエリナに飛び散った。
「大丈夫!?ヨミ」
「ああ」
エリナは僕の手から流れる血を見てそう言った。
「レッドフィールド卿。お見事です、私の風魔法をよく防ぎましたね」
「でも残念。どうやらもう左手は使えないようですね」
僕に男はそういうと刃物を持った男が四人ぞろぞろと出てきた。
「たったの五人か…。お前らには死んで貰う」
「出来ますか?今の貴方に」
男は笑った。
「試してみるか?エリナを狙ったのを後悔しろ」
僕はは右手を伸ばし、男達に向けた。
次の瞬間、真ん中の男以外の四人の男は体に斬撃を浴びて地に倒れた。
「貴様、何をした!」
真ん中の男は何が起こったのか理解できていなかった。僕は目に見えない風の斬撃を飛ばしたのだ。
「何って、別に…」
「魔力固定」
僕は右手を横に向けた。右手の全指先から黒い魔力が黒い炎のように燃え、浸食するように手を覆った。右手に黒い大剣を出現させ黒い大剣を握った。空気中に漂う魔力を集め、自分の魔力を混ぜ合わせることで大剣を作った。
「死ね」
(なっ…。消えた)
僕は男の目の前から消えた。僕は空間魔法で移動した。
「がああっ」
その次の瞬間、黒い大剣が振り下ろされ、斬撃を浴びせた。
男は理解する間もなく死んだ。
「エリナ大丈夫か?」
僕はエリナの元に行き、エリナの顔に付いた僕の血をハンカチで拭いた。
「うん、大丈夫。手治すね」
僕はエリナに手を治してもらった。
「帰るか」
「うん」
僕とエリナは家に帰った。
「帰ったぞ」
僕は家の扉を開け、中に入った。
「お帰り、お父さん」
「ただいま」
レオが僕たちを出迎えた。
「ヨミ…」
「エリナどうした?」
何かエリナの様子がおかしい。
「ちょっと調子悪いみたい」
エリナはそう言い、倒れた。
「エリナ!」
僕は倒れたエリナを抱えた。
「大丈夫か、エリナ!」
僕は揺さぶるがエリナは意識がない。
僕はエリナを抱え、エリナの部屋のベッドに運び、昔から面識のある医者を呼んだ。
「どうだ?エリナは大丈夫なのか?」
僕はエリナの扉の前でエリナを診てくれた女の医者、ミアに聞いた。
「エリナさんの意識は戻ったけど、エリナさんの今、
僕はそれを聞いた時、絶望した。何故ならどんな病気でも治してくれる凄腕の医者にそう言われたからだ。四の世界の病院に診てもらっても意味はないだろう。
「部屋に入っていいか?」
僕は聞くとエリナの部屋に入った。
「エリナ、大丈夫か?」
「うん。大丈夫」
エリナはか細い声でそう言った。
「ヨミ…。私、だんだん目が霞んで見えなくなってきてるの」
僕はそれを聞いて息が詰まり何も言えなかった。
「先生は私の病気は治らないって言ってた」
「私、死ぬのかな…。怖いよ」
エリナは虚ろな目をして涙を流していた。だんだんエリナが衰弱しているのは言われなくても分かった。
「大丈夫。俺がなんとかするから」
僕は涙を流し、エリナの手を握った。僕はエリナの部屋から出た。
僕はどうすればいいのか分からなかった。だからイザベラに相談しようと玄関に行った。
家の出入り口の扉を開けるとイザベラとリリアがいた。
「イザベラ。エリナが!エリナが!!」
僕は泣きながらそう言った。
「分かっているわ、ヨミ。大丈夫よ」
イザベラは僕にそう言った。
僕と女の医者、ミアはイザベラにエリナの状況を話した。
「私の友人にどんな病気でも治せる魔法の薬を持っている人が居るわ」
「イザベラ、その人の所に連れて行ってくれ」
僕がそう言うとイザベラは悲しそうな顔をした。
僕はイザベラとリリアとシエラと一緒にどんな病気でも治せる薬を持っている人の所に向かった。
「ディアナいる?イザベラよ。ディアナ!」
家に着きイザベラは扉を叩いた。
「何じゃ、私が気持ちよく眠っていたのに」
黒い魔導服を着た、年の取ったお婆さんが扉を開けた。
「おお、何だ、イザベラか」
魔導服を着たお婆さんはイザベラの顔を見てそう言った。
僕たちは家の中に入った。
「……それで薬が欲しいと」
僕たちは説明し、薬を譲ってくれるように頼んだ。
「無理じゃな」
「ディアナさん、そこを何とかお願いします。何でもしますから」
僕は頭を下げた。
「お前さん、ヨミじゃろ」
「そうですけど」
「仕様が無い。薬は上げてやろう」
「本当ですか!?」
僕は嬉しくて舞い上がった。
「ただし薬と引き換えにお前の力の半分を寄越してもらおう」
「ディアナ!」
イザベラはアメリアの発言を聞いてそう言った。
「力の半分ってどういうことですか?」
僕は聞いた。
「お前が敵と戦っている時に使っている技の事さ」
「私は色んなな奴の力をこの丸い石に入れてコレクションすることが好きなんだ」
ディアナは笑った。
「分かりました。僕の力を半分を上げますからエリナの病気を治す薬を下さい」
「ヨミ!」
イザベラは僕の発言に焦った。
「大丈夫だ、イザベラ」
僕はそう言った。
「決まりじゃな」
ディアナはそう言うと、何も書かれていない真っ白のルーレットとダーツ矢を持ってきた。
「ヨミ、このルーレットに手を当ててくれ」
僕はディアナにそう言われルーレットに手を当てた。そうすると僕が持っている技が自動で書き込まれた。
「お前の持っている技がランダムで二十個がこのルーレットに書き込まれる。書き込まれてない技はこのゲームには必要ないから除外した」
ルーレットに書き込まれたのは魔力固定、ナイトメアフレア、空間魔法、双極、ハード・バースト、
「ルールは簡単。お前が矢を投げ刺さった所に書いてある技を私が貰う。十個、技を貰ったら終了、お前にどんな病気も治す薬を渡そう」
「分かった。でも一つだけ頼みたいことがある」
「何じゃ?」
「遠くない未来、レイスという者が現れるのだがそいつと戦うために力が必要なんだ。もしディアナに上げた力が必要になったら貸してくれないか?」
僕は頼んだ。
「駄目じゃ」
僕は断られた。
「レイストいう奴は世界を滅ぼすそれでもいいのか?世界を滅ぼされるとあんたも困るだろ」
「そうじゃな。分かった。お前から貰った力は一つだけ貸してやろう。それで文句は無いだろ」
「分かった」
僕はそう答えた。
「じゃあ、始めようか」
ディアナは不気味な笑みを浮かべた。
「イザベラ、ルーレットを回せ」
ディアナはそう言うとイザベラはルーレットを回した。
「何が出るかな~。何が出るかな~」
ディアナは陽気な声でそう言った。
僕は矢を投げた。ルーレットは回転を止めた。
「………」
「やったあ、
僕が投げた矢は死者の安息が書かれている場所に刺さった。
「じゃあ、お前の力貰うぞ」
ディアナはそう言った。僕は黒い球を渡された。
「その玉を握ってお前の力を込めるんだ。お前が私に物を渡すのをイメージして」
「こうか?」
僕はイメージして黒い玉を握った。
「ほう、中々のものだ。美しい。一級品だな」
「私はこの力欲しかったんだ」
アメリアは黒い玉を手に取るとそれを見て喜んだ。ディアナはコレクションしている箱に黒い玉を閉まった。
イザベラ達は悲しそうにこっちを見ていた。
イザベラは矢を抜いた。そうするとルーレットに書いてある
「イザベラ、回してくれ」
僕がそう言うとルーレットを回した。
僕は矢を投げた。
双極と書かれている所に刺さった。黒い玉に力を込め渡した。
「何だ、外れか」
ディアナは黒い玉を見てそう言った。
「じゃあ、僕に下さい」
「嫌だ」
ディアナは意地悪そうにそう言い黒い玉を別のケースにしまった。
「次じゃ、次!!」
ディアナはそう言い、イザベラはルーレットを回した。
「限定世界か…。まあまあだな」
「一応、コレクションしとくか」
ディアナは黒い玉を別のケースにしまった。
「次!」
僕は矢を投げた。
「やったあ、当たりだあ」
ディアナは喜んだ。
「どうだ?自分の大切な力を奪われる気分は」
ディアナは僕を煽った。
僕はそれを無視し矢を投げた。
「眼力か…。外れじゃな」
「ナイトメアフレアか、まあまあだな」
「結界?ゴミだな」
ディアナは次第に不機嫌になっていった。
「いいよ、ヨミ。その調子」
イザベラは僕にそう言った。
「頑張って、ヨミ」
シエラは僕にそう言った。
僕は矢を投げた。
「やったあ」
ディアナは喜んだ。
僕はまた矢を投げた。
「お前の大切な力どんどん奪われるな。どんな気持ちじゃ?」
「………」
僕は黙った。
「最後だな…」
「ヨミ、もう
「止めてもいいんじゃよ。止めたらエリナは助からないがな」
ディアナは不気味な笑みを見せた。
「大丈夫だ」
僕がそう言うと矢を投げた。
(馬鹿が!!このルーレットには最後には絶対私の欲しい力を当てさせる力がある。ヨミ、悪いがお前の切り札、
ルーレットは止まった。
刺さったのは
「そんな馬鹿な」
ディアナは信じられない様子だった。
「早く力を込めろ」
ディアナは焦った様子で僕にそう言った。僕は力を込めた黒い玉を渡した。
「これは…。クソがあっ!!」
ディアナは黒い玉を見てそう吐き捨てた。
「守りやがった。お前の母親の力がお前を守りやがった」
「ふざけんな!!」
ディアナは地面に黒い玉を叩きつけた。
「こんなのは無効だ!!」
ディアナは僕にそう言った。
「ヨミはちゃんとルールは守ったわ」
「でも…」
「もしかして貴方、このルーレットに貴方の欲しい力を必ず当てる細工でもしていたのかしら」
「うっ…」
「約束は守って貰うよ」
「………」
イザベラの言葉にディアナは何も言えなかった。
「……で何の力を一時的に使えるようにするんだ?」
ディアナは欲しい力を手に入れることができなくて悔しがっていたが落ち着いた。
「
「分かった」
ディアナはポケットから袋に包まれた飴を手で握り、もう片方の手には
「出来た」
ディアナは僕に握っていた飴を渡した。
「
「この飴、腐らない?」
僕は疑問に思ったので聞いた。
「腐らないように魔法を掛けてる」
「そっか。貰うよ」
僕は飴をポケットにしまった。
「あと薬だな」
ディアナはそう言うと、奥の部屋に行き、薬の入った瓶を持って来た。
「ほら、持って行け」
「ありがとう」
僕は薬の入った瓶を貰った。僕はディアナに感謝した。
(母さん、ありがとう。僕の大事な力を守ってくれて)
僕は外に出て走った。
「力を奪われた後にありがとう何て初めて言われたよ」
ディアナはそう言った。
「それがヨミの良いところなのよ」
イザベラはそう答えた。
「亡くなったお前の息子に何処となく似ているな」
「ええ、そうね」
イザベラは懐かしむようにそう言った。後にディアナはヨミから奪った力を返す事になる。
「エリナ、エリナ!」
僕は家に辿り着き、エリナを起こした。
「何?」
「病気を治す薬持ってきたよ」
「ほら飲んで」
僕は薬の入った瓶を開け、エリナの体を起こし、飲ませた。
「どうだ?」
僕は心配そうにエリナを見つめた。
「見える…。見えるわ」
「良かった」
エリナと僕は涙を流し抱きしめ合った。
エリナの病気は治った。
その日の夜、イザベラ達はヨミが持っている力の半分をなくした今、レイスを倒すためにどうすれば良いのか話し合っていた。エリナはその話を聞いてしまった。
「ヨミいる?」
エリナが扉をノックして僕の部屋に入ってきた。
「どうした?眠れないのか?」
蝋燭が灯った薄暗い部屋で僕は本を読んでいたが読むのを止めた。
「私を助けるためにヨミの力の半分、奪われたって本当?」
エリナは今にも泣きそうな顔をして言った。
「ああ、本当だよ」
僕はそう答えた。
「ごめんね。ヨミ、ごめんね」
エリナは涙を流した。
「いいんだよ、エリナ。僕はエリナを助けたいと思ったから条件を飲んだんだ」
僕はベッドから立ち上がり、エリナを抱きしめた。
「エリナ、僕が失った力はもう僕には必要ない物ばかりだったから良いんだ」
「本当に?」
「本当だよ。僕の大切な力も奪われそうになったけど母さんの力が身代わりとなって僕の大切な力を守ってくれたんだ」
「だからエリナは悲しむ必要は無いんだよ」
僕はエリナの頭を撫でた。
「もう夜は遅いし、一緒に寝よう」
僕はエリナとベッドで寝そべると僕はエリナを抱きしめ、エリナの頭にキスした。
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