雷電社周辺の撮影記録(動画サイト投稿映像)

【動画タイトル】

深夜の雷電社跡で肝試し


【動画概要】

ハンディカメラで撮影された、4人組の若者による深夜の肝試し記録。舞台は群馬県某所、荒れ地となった雷電社跡地。


***


(冒頭、真っ黒な画面に荒れた地鳴りと風音。時折、砂の細かい跳ねる音)


A氏「…雷電社、ここか。下は全部土だな。マジ、草一本もない。」


A氏「石…こんなに転がってていいのか?昔は道があったんだろ?」


(カメラが荒れ地をうろうろ。地面は乾いた剥き出しの土、細かい穴や凹凸に無秩序な大小の石。遠くに木製の骨組みだけが残る社。ごく小さな祠が唯一形を保つ)


B氏「木の柱…壁は全部落ちて、ただ枠があるだけ」


A氏「祠は…一応守ってる感じか。でも何か妙だな。入り口、歪んでる…?」


(誰かが石を蹴ると、硬い音。手持ちライトが地面を照らす――土の模様に、不自然な螺旋の痕跡。祠周りにも石が密に堆積)


A氏「なんか今、変な音しなかった?……カラカラ…パキって木が割れるみたいな音」


(静寂の中、木の骨組みがわずかに軋む。風でもない低い唸り)


C氏「……いや、本当に空気が重い。呼吸苦しい」


(瞬間、画面に強いノイズ。祠の内部を覗くとライトが歪んだ反射を返す、何か金属的な輝きが一瞬見える。だがピントが合わずほぼ真っ暗)


D氏「スマホ、再起動繰り返してる。さっきから頭も痛い…」


(全員沈黙、風なのか、土の下から響くような「ゴロゴロ」という不規則な低音)


A氏「この祠さ…何入ってんだ?…なんか、穴空いてる」


(誰かがしゃがみ、指で土を触ると一瞬ライトが消え、カメラ本体に電気的ノイズ)


B氏「……石の陰、何か光ったって今…見間違い?」


(社の木造骨組みの上に微かな蒼白い光。画面端が青緑の色調に揺れる。全景で木枠が影を伸ばし、転がる石が一斉に同じ方向に傾く)


C氏「やばい、誰か後ろに立ってる気する。いや…誰もいないよな」


A氏「……いや、本当にやばい、体が変な感じする。脈早いし息苦しい」


(祠から再び微細な高音が、まるで電子音のように漏れる。画面が白飛びしかけ、暗転数秒)


D氏「走れ!とにかく出よう。なんか後ろから音…」


(数人の駆け足、石を蹴る音、木骨組みがパキンと高く鳴る。荒れ地を抜け出口に向かう)


(画面はいっとき真っ黒、遠くに靴音、息切れ、そして一度だけ木の骨組みと石だらけの地面、形だけ保つ小さな祠がライトで映る。どこか冷たく蒼白い光が地面の陰を強く映し出す)


(動画はそのままカメラのバッテリー切れか、突然終わる)


****


【2025年8月23日現在、元動画はすでに投稿サイトから削除され、投稿者にも連絡がつかなくなっている。時折SNSやネット掲示板等でコピー動画が出回っている。】

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