第6話ひまわり夢
「ソラタ水出して」ホースをひまわりたちに向けてひまわり柄のワンピースをきた少女がこちらを振り向き言う、麦わら帽子にもひまわりの花が付いている。校庭のひまわりが水を出してと言っているようだ、ソラタは水道の蛇口をひねる。
ナツコはホースの先端から勢いよく出る水をひまわりに向けて、ひまわりたちの中へと溶けて行った。
「ナツコ大丈夫か」ひまわりたちに向かってソラタは声をだす。セミの鳴き声が校庭に響いている。ソラタはなぜか不安になってきた。夏の太陽がソラタの首に容赦なくふり注ぐ。「ナツコ」とセミたちに負けない声をだした。
いやな汗が首にながれる。少し冷たい風がソラタを冷やす。ひまわり畑に向かって続くホースをたどっていく。見上げるとひまわりの中だ、ひまわりたちはソラタのこと知らないように空へ向かっている、ホースはもっと奥へとひまわりの茎と葉がつくり出す緑とくらい影の中へ。
不安をかき消すため「ナツコ」とソラタは叫んだ。地面にナツコが履いていたサンダルが片方あった。背中にながれる汗は大きく、冷たい。
「ソラタ」と声を聞いたとき目からも汗がでていた。
ゆっくりとたしかな葉を揺らす音が近づく。姿が見えたときソラタはホースを放り出し、片方のサンダルを手にもちナツコを抱きかかえていた。
どうやってひまわり畑から出てきたのかソラタはわからなっかった。
渡り廊下の日蔭のベンチに寝かせソラタは腰につけていたタオルで顔を拭いた。「ソラタ」と言いながらナツコは目明けた「あのね」と言うナツコにうなずきなが不安から逃れたソラタは声が出ず、黙って聞いた
「声がしたの、ナツコて、それでその声の方へ向かって行ったら」
「行ったら」少し落ち着いてきたソラタ
「小さなひまわりが一輪咲いていたの、水をちょうだいて、そしたらありがとうて答えるの、でも僕は日蔭だからすぐ枯れるんだ、て言うの、なんだか悲しくなってたらソラタの声が聞こえた」
わかったよとソラタは渡り廊下の片隅にあるシャベルを片手にひまわり畑へと入っていく、「その小さいひまわりを外へ出してやるよ」ひまわり畑からソラタの声が聞こえた。
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