第33話【わたし視点】くらくてからい、ひみつのへや!

暗い階段を、ころころ、ぴょんぴょん、どんどん下りていく。

下に行けば行くほど、からくて美味しそうな匂いが、どんどん強くなっていく!

わくわくする!


一番下まで行くと、古くて重そうな木の扉があった。

わたしは、体の形をうすーく伸ばして、扉の隙間からにゅるん!と中に入った。


わあ、ひろーい!

中は、石でできた、だだっ広いお部屋だった。空気がひんやりしてて、ちょっとだけカビ臭い。

でも、それ以上に、強烈なからい匂いが、お部屋いっぱいに満ちている!


わたしは、匂いの元を探して、お部屋の中をころころ転がった。

あった!

お部屋の真ん中に、石でできた台があって、その上に、古くて汚い、小さな木の箱が置いてあった。

その箱全体が、黒くて禍々しいモヤモヤに、もわーっ!と包まれている。

これだ! この匂いの元は! なんて美味しそうなんだろう!


ごくり。

これは、今まで食べたどんなものよりも、最高にからくて、最高に美味しいに違いない!

いただきます!


わたしは、石の台にぴょんっと飛び乗ると、その黒いモヤモヤに包まれた木の箱に、思いっきり、ぱくっ!と食らいついた!

そして、箱ごと、むしゃむしゃ、ごくん!と、一気に飲み込んでしまった!


うわあああああああっ!

からい! からい! からい!

国王のおじいさんのモヤモヤよりも、もっともっと、何千倍もからい!

体が内側から燃えちゃいそう! 爆発しちゃいそうなくらい、強烈な刺激!

でも、おいしいいいいいいいいっ!


わたしのお腹の中で、ものすごい力が、ぐわんぐわん渦巻いているのがわかる。

今まで食べたからいものたちが、全部合わさって、もっともっとすごい力に変わっていく感じだ!

これは、すごいパワーアップだ!


ぷはーっ! げぷっ。

ああ、美味しかった! 大満足!

わたしが、満腹感でその場にごろんと寝転がっていると、遠くから、ビー玉さんたちの慌てた音が聞こえてきた。

あ、見つかっちゃった。えへへ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る