ぷるぷる聖獣様はごはんが食べたい!~気づいたら国を救うハメになってました~

サンキュー@よろしく

第1話【わたし視点】ぷるぷるなわたし、たんけんのはじまり!

ぷるぷる。


わたしは、ぷるぷるしてる。

それが、わたしが最初にわかった、わたしのすべて!


あれ、でも、なんだかすごく変な感じがする。わたしって、どうやってここにいるんだろう? うーん、思い出せないや。まあ、いっか! 今はこうしてぷるぷるしてるんだから、これが今のわたしなのだ! えへへ。細かいことは気にしないのが一番!


目の前には、みどりの天井が広がってる。たくさんの葉っぱがふわふわと重なってて、その隙間からこぼれる木漏れ日がキラキラしてる! 優しい風が吹くと、葉っぱがさわさわ〜って歌ってる。ここは、どこなんだろう? ま、どこでもいっか! 気持ちいいならそれでよし!


わたしって、どんなかたちをしてるのかな? ちょっと気になって体を動かしてみたら、ぜんぶが「ぷるんっ」て、気持ちよく揺れた。体を傾けて、ころころと転がってみる。近くにあった水たまりに、一生懸命にゅーって近づいて、水面に映った自分を見てみた。


青くて、キラキラしてて、おまんじゅうみたいにまんまる! 太陽の光を浴びると、ソーダ味のゼリーみたいに透き通って見える。

なるほど、わたしはこういう生き物なんだ。ふむふむ。なんだか、ちょっとだけ可愛いかもしれない! ストレスフリーな感じで最高!


きゅ〜。

お腹が鳴った。よーし、たんけんだ、たんけん! 美味しいもの、探すぞー!


わたしは森の中をころころと転がり、目についたものを片っ端から食べてみた。

キラキラと朝露に濡れて光る葉っぱは、太陽みたいな味がして、体がぽかぽかした。

傘に白い水玉模様がある真っ赤なキノコは、舌がぴりぴり痺れる刺激的な味! からくて美味しい!

岩陰にひっそりと咲いていた、青白く光る小さな花は、しゅわしゅわしてて、なんだか体がすっきりする不思議な味がした。


わたしは、この森がすっかり気に入った! 美味しいもの、面白いものがたくさんある。毎日がわくわくのたんけんで、とっても楽しかった。


そんなある日のこと。

わたしが日当たりのいい場所でごろんと日向ぼっこをしていると、ガサガサ!と大きな音がして、茂みの中から緑色で、しわくちゃの顔をした生き物が飛び出してきた。ぎゃあぎゃあ汚い声で何かを叫びながら、ごつごつした木の棒を振り回して、わたしに襲いかかってきたのだ。


わっ! こわい!

わたしはびっくりして、体をきゅーっと縮こませた。

緑の生き物が振り下ろした木の棒が、わたしのぷるぷるの体に、ぽよんっ、と当たった。

……あれ? ぜんぜん、痛くない。

むしろ、なんだか、面白い感触だ。


緑の生き物は、わたしが平気なことに驚いて、もっと強く、何度も何度も木の棒で叩いてきた。ぽよん、ぽよん、ぽよん!

うーん、なんだかだんだん面倒くさくなってきたな。それに、お腹も空いてるし……。

この緑のやつ、食べられるのかな?

からそうだけど、まあ、いっか!


わたしは、にゅーっと体を大きく広げると、びっくりして動きが止まっている緑の生き物を、一気にぱくり!と包み込んだ。

体の中で、緑の生き物が、ぎゃあぎゃー!と暴れているのがわかる。

おおっ! やっぱり、からい! 舌がびりびりするけど、クセになる味だ!

ごくんと飲み込むと、不思議なことが起きた。お腹の中が、じわーっと温かくなって、なんだか、すごい力が湧いてくる感じがする!

からいものほど、パワーアップできるみたいだ! これは大発見だ!


でも、食べた後にお腹の底に、ギザギザした美味しくないものが残った感じがする。ぺっ!てできないや。なんだか小さなトゲみたいにチクッと残って、少しだけ嫌な感じ。まあ、いっか!


それからというもの、わたしは森で襲いかかってくる魔物たちを、片っ端から食べてみることにした。

鋭い牙を持つ狼みたいな魔物も、大きな角を持つ猪みたいな魔物も、ヌルヌルした体で木に張り付いている蛇みたいな魔物も、ぜーんぶ、見つけ次第、ぱくり!と食べてやった。

食べれば食べるほど、わたしの体はどんどん強くなっていくのがわかった。

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