中退クライシス「胸クソ」発言で一念発起

学歴コンプレックスは様々だ。「あの人より、出身校の偏差値が低い」とか「憧れの学校に入れなかった」とか、人の数だけドラマがある。


僕もかつて、学歴コンプレックスを抱えていた。大学を一度、中退したからだ。


大学中退の余波は、人生でジワジワと押し寄せてくる。僕自身は現役で入った大学を(たしか)4年半の在籍期間をもって退学した。


振り返ると、理由はただのモラトリアムだった。大学1年生の前期で学部の友人もろくにできなかった僕は、必修科目でのレポート提出があったとは知らず、すでに留年決定のボディブローを盛大にくらっていた。


今思えば、そこですでに落ちこぼれとなり果てていた。サイクリングクラブといって、しっかり宿をとって夏と春の休みには北海道や西日本の合宿へいく部活で学生ならではの青春も味わったが、本分の大学ではサボりまくり、部室に入り浸っていた。


大学3年目だったか、夜な夜な「Yahoo!チャット」へと入り浸り当時流行っていた音声通話ソフト「Skype」で見知らぬ誰かと語り合う生活に溺れると、大学へ行くのすら億劫になっていった。


あの当時、しっかり大学へと通って単位を取り、普通に就職していれば…。人生において、特に現在の本業であるフリーライターとしての活動をはじめるまでは、何度後悔したのか分からない。


一度、大学中退によって数日間は涙が止まらなくなるほどのショックも味わった。26〜27歳だったか、当時付き合っていて結婚も考えていた元カノの親父さんから「君は中退しているし、何なら、この先も稼げる見込みなんてないだろ」(意訳)とも吐かれた。


悔しかったけど事実で、そして、事実だったからこそよけいに悔しかった。


しかし、その言葉をきっかけに一念発起して、当時勤務していた編集プロダクションを退社した僕は、28歳で当初通っていた大学に再入学した。幸いなことに、過去に取っていた単位を引き継いで3年生から入り直す仕組みがあったのだ。


まあ、ぶっちゃけてそれが見切り発車でフリーランスになるきっかけとなって、現在へと至っているのだが。30歳手前で現役学生の方々と少人数のゼミでディスカッションする気まずさはあったものの(向こうもやりづらかったろうなと…)、2年間で卒論も書き終えて無事に卒業できた。


あの当時、奮起するきっかけを与えてくれた、元カノの親父さんは今の僕を見てるのかしら…。憎かったけど憎むのもおかしいし、でも、どっかスッキリしない感情を持っていたのも本音ではある。


ただ、ひとつ言いたい。結果、自身の仕事で大学時代に専攻していた「社会学」のマインドなどは役立っていると思うが、中退していたから、卒業したからといって、仕事を「得る」のに影響があったことは一度もない。


立ち止まらずに、おのれの道を進めば何とかなる。自信もなく落ちこぼれだった自分でも、色々な人に支えられながら、どうにかなっているのだから。


でもやはり、元カノの親父さんには「お〜い、息してます? 今ぶっちゃけ、楽しくて仕方なくて(笑)」と言いたいかな。もはや顔も覚えてないけど…。いつか、街中で出会えると信じて。

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