第2話 信 無 認 不 目 背
外、玄関ドア付近
地面に置かれている大剣を見たグレイブが
「そーいやコレ良く盗まれねーな」
と指差している
ゼストが大剣持ち上げようとしながらテンション上がった声で
「全然大丈夫!あたしでも持ち上げる事できないから!」
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グレイブが呆れ顔で手をパタパタしながら
「いやいや、そりゃお前さんじゃ持ち上げれる訳ないでしょーよ…」
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グレイブが袖をまくり力瘤を作る仕草をしながら
「よし!お兄様の力を少しお見せしよう!」
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グレイブは汗だくでへとへとになり地面に座っている
ゼストがイタズラな笑顔を見せながら
「な!びくともしないだろ!持っていける人間なんかいないのよ」
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アリスは腕を組み満足げにしている
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玄関のドアが開き掃除用のホウキを持ってエリカがでてきた
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エリカが大剣の元に行き
「ここ掃除したいのでこの剣動かしますね」
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エリカは床に落ちてる物を拾うように、何気なく大剣を持ち上げ別の場所に置き、掃き掃除をはじめた
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絶句していたグレイブが困惑気味にエリカに問いかけた
「お、おい、エリカちゃんよ、なぜ持てた…??」
掃き掃除しながらエリカは
「にょ?毎日家事もしてますし」
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それを横目で見た後アリスは一瞬笑みを浮かべた
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夜の街並み
遠くから重低音が鳴り響いているのが聞こえてきた
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煌びやかなステージ
大人数の前で踊って歌っている女性とその後ろにいる三人が楽器を演奏している
熱狂的な盛り上がりを見せている
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その女性が絶唱と同時に夜空には花火
あたり一面が真っ白になる
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ドアには【Just a silly bard ζ JSB】様、と書かれている紙が貼られている
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そのドアをノックすると中から気の抜けた声で
「どうぞー鍵空いてまーす」
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そのドアを開けると、漆黒のロングヘアーの女性が頭にタオルをかけてぐったりしている
体から湯気が出るほどの汗まみれで熱っているのが分かる
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目の周りに真っ黒な奇抜なメイクのその女性は横目でチラッとこちらを見た瞬間
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女性は焦った様子で自分が座っていた椅子に正座し直し、改まった姿勢をした
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七三分けの男性は片手を振りながら
「ジェーンドゥさん!お疲れ様でした!今日も最高のパフォーマンスでした!!」
ジェーンドゥは疲れを感じさせない笑顔で
「リアムさーん!ありがとうございます!皆様のおかげです!」
リアムは思い出した様子で
「そういえば例の子来ましたよ。お呼びして良いですか?」
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ジェーンドゥは立ち上がり
「もちろんです!お願いします!」
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子供の手がドアをノックしている
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ドアが開き片手にビールを持ったジェーンドゥがその子の前に立ち
「おー、良く来たなー。君がマルティンか」
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マルティンは憧れの眼差しでジェーンドゥを見上げ
「うわー!本物のジェーンドゥだー!!すっげー!!」
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ジェーンドゥはマルティンの頭を撫でながら
「そうだ、本物のジェーンドゥだぞー」
と言い持っていたビールをグビグビ飲んだ
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マルティンは嬉しさを爆発しながら
「本当に願い叶ったー!お願いして良かったー!あの何でも叶えてくれる魔法使いの魔法すっげー!生きてて良かったー!生きるのって幸せー!もっと頑張るぞー!!」
ジェーンドゥはその様子をみて微笑んでいる
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薄暗い部屋
ジェーンドゥとマルティンのそのやりとりの映像が水晶に映ってる
それを見ている子供が羨ましそうな表情で不満を漏らす
「こいつだけズリぃ~…」
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暗い部屋
ジェーンドゥとマルティンのそのやりとりの映像が大きな水晶に映ってる
それを見ている男女の後ろ姿からはポジティブに捉えられない発言
「ジェーンドゥってやっぱみんなが言ってるように魔法で成功したみたいだよー!そうとしか思えないしね!売れる為に良くやるよー!」
「やっぱねー!同じクラスだったけどあんな地味だった奴がいくら努力したってこんな成功する訳ないからねー!そりゃ魔法しかないよねー!キャラ守るの必死でウケるー!」
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その者の後ろには
無数の影が実に楽しそうに和気藹々と語り合い狂気じみた笑顔を浮かべている
その影の中にその者達から伸びている影も幸せそうに笑い合ってお喋りしている
———
続く
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