第17話 情報共有

 運転手が黒波くろは凛虎りんこ有栖ありす咲草さくがパトカーで事件現場に向かう。鳴海なるせはダンジョン外で待機して皆のバックアップである。ダンジョンは四つ確認されている。東京、大阪、福岡、北海道だ。


 サイレンが街を駆ける。周囲の景色が規定速度で変わっていく。車内では緊迫してない様子で会話が繰り広げられる。


「いや~。凛虎りんこはなんか安心するな」

「え、そうですか? 人懐っこいとはよく言われるんですよ~」

「なんせ新人でこの課に馴染んでるからな。ヤバミマックスなんだろ? すっかり慣れっちまって普通の奴といると逆に違和感がな」


「ああ、俺たちより断トツでやべー」

「普通ですよ!! 一番普通です!! なんですかヤバミマックスって!!」


「ウチそんな風に見られてたんか。悲しいわー」

「ん~難しいですね。でもやっぱり私が一番普通ですね」

「意思が強うてええな凛虎りんこは」


 有栖ありす黒波くろはに向けて補足する。


「一理あるな。真仮まかりはただ建物破壊が得意なだけだ。害獣を見たら暴走したり、対人でパン見せつけブリッジ決めたり、欲情したりしながら敵にショックガンを連射して倒したりしただけだ」

「端折り過ぎですよ!! 語弊もありますし!!」

「あの体でパワーもヤバいぞ」


 鳴瀬なるせも通信で最後に付け加えた。


「へ、へー……お、思ったより普通だな……よよよよよろしくなこれからも」

「その気遣いが逆にヤバさを強調してるぅ!!」


 一旦落ち着いた凛虎が黒波に聞く。


「でも。勤務中に博打もそうとうじゃないですか? 本当にやってないんですよね?」

「……ま、まあな。でもな……2020年頃むかしの警察はそれが日常だったんだよなぁー」

「それG○○ゲームの話ですよね!!」


 そんなこんなで東京ダンジョンに到着する。凛虎りんこ鳴瀬なるせに聞く。


「脅威Λラムダってことは五階層付近ですか?」

「三階層だな。場所の説明がややっこしい。既にマッピングは完了してあるからデータを送る」


 携帯に送られてきたファイルを幾つか開く。四人はファイルに紛れていた鳴瀬なるせの写真を削除する。ファイルにはルートと犯人の位置が表示されていた。現在最も魔物が少ないルートである。


「相変わらず凄いですね」

「なぁにこの程度。踊るまでもない」

「なんでであの爆弾より優先度低いんですか」


「爆弾だと? またぶったな!! 仏の顔を三度までという名セリフを知らないのかよ」

「もう三回以上ですよ。なにもないようなのでほっとけます。さあダンジョンに突入しますよみなさ!! あああ待ってください!!」


 既に皆はスルー突入していたので追いかける。



☆彡☆彡☆彡☆彡☆彡



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