宗狂の教え

@Mamizu_yamakawa

プロローグ

悪魔に憑かれた村

パチパチと焚き火が心地よく音を立て、僕の掌に熱がじんわりと染みていく。

このくらいの温度なら、悪魔に取り憑かれた彼らの魂もきっと救える。そう確信しながら、僕は微笑んで口を開いた。


「一応、聞いておこうか。この中に――ヴァイルを否定する者は、いるかな?」


期待はしていない。けれど、まれに自力で呪縛を断ち切る者がいるから、儀礼として尋ねておく。


「ネブラの悪魔に魂を売った、穢れた売国奴の分際で偉そうな口を叩くなッ!」


村に響き渡る叫びは、空気を震わせるほど鋭かった。思考より先に、僕の手が動いていた。

鈍い音が響き彼は肉塊となった。1人の尊い命が無くなり救えなかった事を悔やむ。けれど、こんなのにはもう慣れてしまった。


「訂正させてくれ。僕は君たちを“殺しに”来たんじゃない。“救いに”来たんだ。……死してなお、悪魔に憑かれたいのか?」


僕の問いかけに、悲鳴は大きくなる。

「せめて子供だけでも!」

「助けて……!」

懇願の声が混ざるたび、僕の胸には慈悲の炎が灯る。


――なんて可哀想な人々なのだろう。

だが安心してほしい。すぐに、ネブラ様の御許に行ける。

確かに禊は苦しい。だがこれは、救済の痛みだ。


この場に彼らを導ける者が他にいないのなら、僕がその役目を果たすだけだ。

僕は一人ずつ、丁寧に火にかけていく。


ああ……心優しきネブラ様。

どうかお赦しください。

彼らがいま上げているこの悲鳴は、罪を悔いる祈りなのです……。


肉の焼ける匂いを嗅ぎながら、僕は最後のひとりの声が消えるまで耳を傾けた。

すべてが終わったあと、僕は三人の従者を連れて、静かに村を後にした。

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