第14話「仮説」

俺は、仮説を一度ここで整理し、

次のステージへ進む準備を整えることにした。


……今度は、強引に、だ。


まず最初に考えるべきは、

設計者――

この世界の仕組みを作った存在が誰なのかってこと。

これは、最重要事項だと思ってる。


その次に、澪という名前の人物。

彼女は一体、どんな人間なのか?


澪という名前には、まったく記憶がない。

なのに、記憶のような形で、

俺の中にその名前が情報として流れ込んできた。


これって、よく考えれば見逃しそうな違和感だけど、

こうも考えられる。


――記憶にあったものを、誰かが隠している。

そう告げているんじゃないか?


もしかして、俺の記憶って……封印されてる?


そこで、仮説①を立ててみる。

――澪についての記憶は、封印されている可能性が高い。


つまり、俺――蒼井颯真として死なずに生きていた未来の世界線の記憶が、

何らかの方法で忘れるように設定されている。


そして澪は、設計者、もしくは、その一員だと思われる。


次に考えられること。

それは、これまで俺が感じてきた違和感たちだ。


どう考えても、

設計者が用意したとしか思えない情報を、

俺は与えられている。


しかも、設計者によって敷かれたレールの上を、

俺は進んでいるようにさえ思える。


これをどう捉えるか。

そして、俺はこう考えた。


――わざわざ手の込んだ方法で情報を与えてくる。

しかも、他の人間には俺の存在

――蒼井颯真だったことに気づかせないようにして。


そのことと、

俺が転生するきっかけになった事件を並べてみた。

設計者は、俺を真犯人から守ろうとしている。

おそらく、間違いない。

これが、俺が強引に導き出した仮説②だ。


まとめると――

設計者は、将来の俺と敵対する存在から、

俺を守るために……!?もしかして、

そのために俺を江戸に転生させたってことが、

言えるんじゃないか?

ということで、これが仮説新②だ。


そして、澪という存在。これは

――「未来の組織から俺を守る存在?」

「未来から来た“右腕かつ大切な人”?」


記憶がないから、

言及するのは控えていたけど、どうやら

俺を敵から守ってくれる女性で、

将来の俺にとってものすごく大事な存在なのは、

間違いないようだな。

これが、仮説③。


……恋人とか、なんかな?

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