ラブされるためのレターのはなし

しろいの

第1話かわいいと思ったチビ

 4限目、現代文の先生の声がる…教室中に響いている。

「気づけば入学から一ヶ月かあ」と

黄昏る青年が少し時計に目をやると

光が反射して窓際の席で真面目に勉強するギャルがいた。


そんなことをぼんやり考えていると

ブブッとスマホが鳴った。


『ステップ1:ボケーっとした性格を直せ』


頭の中には驚きと恐れが交差した。

「何を言っているんだ」「誰なんだ」「なぜ俺の連絡先が」

周りを見渡せど目の合う人間はいない。


しかし、この言葉がどうも芯を食っているように感じた。

怖くてトイレへ駆け込もうとして廊下へ出た時、

ドンっと誰かにぶつかった。

「ご、ごめん」

「あ……」

何か言いかけていたがそれどころじゃなかった。



 やっと落ち着いて教室に戻った時、罪悪感を感じて

さっきの女子に謝ろうとした。しかし、記憶にあるのは

小さい女子ということだけだった。


この40人学級で身長だけでは見つからないと思ったが

案外見つかるものだ。その子は教室のドアのすぐ横で

棒立ちしていた。

「さっきはごめん」

「ん」

素っ気ない言葉は返事とも疑問とも取れて彼もなぜか

棒立ちした。昼休みが終わるまで

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