終活旅行 ( 随筆 )

食いしん坊の食うかい?

第1話 初めに

私が60歳を迎える年に、両親は天に上った。

正確には、父親は3年前の7月に。

母親は2年前の1月に。


葬儀、四十九日、初盆、1周忌、3回忌。

+ 遺産相続・名義変更。

こうして慌ただしく、2年が過ぎた。


ある程度落ち着いたので、私は思い立つに至った。

「そうだっ、四国遍路に行こう。」

香川県で生まれ育った私は、

郷土の大先輩である、弘法大師 空海 が発起した

四国遍路 88か所巡り と、別格 20か所巡りを

行うこととした。


計画

四国遍路は大別し、徒歩で巡る。

バスツアーで巡る。車で巡る。の3種類。


宿泊は大別し、ホテル、民宿、宿坊、車中泊。の4種類。


まず私は、ツアーが苦手だ。

決められたスケジュールに沿って、時間に縛られ動くのは嫌いだ。

徒歩で巡る ?? いや、無理、無理。

従って車移動に決定。幸い、私は軽トラックを持っている。

軽トラの荷台を工夫し、そこで寝ればいい。


そこで、どうやって寝るかだ。

荷台にテント。夜でも晴れていれば可能だ。

しかし、雨や雪なら床が濡れるし、荷物の盗難の恐れが有る。

そこで荷台に箱を載せ、その中で寝る。これなら盗難の恐れが減る。

それには、箱を買うか、自作するか。


某オークションを見ていると、

軽トラの荷台に乗せる保冷車の箱が、3万円で出品されていたのでポチった。

これで「宿」は調達できた。


さて、宿は手に入れた。後は、何を用意し、持って行くか ? だ。

まず、四国遍路の上着、金剛杖、編み笠、肩掛け鞄、

   御朱印帳、数珠、お経の本、お線香、ロウソク。

これらは無くても良いが、一応揃えた。

他には、箱内で食べる食料、鍋、着替え、目覚まし時計、スマホ(カメラ)。

予算は、1日1万円で1か月=30万円を用意。

これは食費+ガソリン代+お寺の入山料、駐車場代、御朱印代。

(実際に使ったのは、15日間移動で、お土産代込みで9万円未満だった。)


無くても良いが、有る方が良い物。

ポータブル電源。スマホ充電や電気調理に有ると便利。

私は災害時用を兼ねて、2000w/hのポータブル電源を買った。約13万円。

季節により、夏は扇風機、冬は電気毛布+寝袋。

スマホ写真を別保存するSDメモリーカード、またはPC。

これらを揃え、箱に積み、私は出かけることにした。

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