中継14 ワインドアップ

 早瀬、グラブを替えました。どうやら本当に右で投げるようです。


 手元の資料によりますと、早瀬くんは本来右利きで、小学生のとき、体育の授業で右肩を脱臼、それ以来、リトルの大会では左腕で投げるようになった……と、ありますね。


 その左腕も肘や手首の故障で昨今思うようには投げられず、こっそり右投げにもどす特訓を重ねていたということでしょうか?


 その可能性はありますね。いずれにしろ器用な選手ですから、地区予選までは左で、甲子園にいってからは右でいこうと思っていたのかもしれません。


 それは一路純樹のここにきての出場にもいえるかもしれませんね。陸王は地区予選まで一路を温存。甲子園で大暴れさせるつもりだったが、そうもいってられなくなった。


 手持ちのカードを全部使い切らなければこの試合には勝てない。両チームともそう踏んだわけでしょう。


 さあ、稲城台の内外野が守備位置にもどってゆきます。

 一路純樹も左打席に入って試合再開です。



 プレイ!



 球審のコールを受けて……あっと、早瀬がワインドアップ。左投げとはがらりと変わったダイナミックな投球フォームだ。

 おおきく振りかぶって、第2球、投げた!!



    中継15につづく

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