第21話 白い薔薇を赤いペンキで塗る義務
―――
――――・・・
均された道を進む。
「入り口、入り口、入り口、木陰・・・」
「イコール・・・さっきから険しい顔をしてどうしたの?」
「言いにくい」
「どうしたの?」
「トイレしたいっ・・・」
「まぁっ、どうしましょう?」
「あ、入り口っ。非常事態だアリス、レディの前ではムリだっ」
生垣の切れ目に入り口、そこをくぐるとすぐに木陰に走って行くイコール。
「非常事態だからしょうがないわ・・・」
アリスはイコールの向かった方の、反対側を向いて少し歩いた。
人影がすぐにあって、歌いながら白い薔薇を赤いペンキで塗っているのが分かった。
白い薔薇を赤く塗っているのは、どうやら兵隊だ。
「せっかくの白い薔薇がもったいないわ」
アリスの存在に気づいた兵隊達が、アリスを見て、「アリスだ」と言った。
「どうして私を知っているの?」
「私達には時間がない。忙しいんだ」
「それはそれはごめんなさい。ここはどこなのか尋ねたいの」
「アリス・・・」
切なそうな声で、兵隊がつぶやいた。
「君がまた来てくれるのを、待っていたような気がする」
「ん?」
「君は、小さい頃に一度ここへ来ている」
「どういうこと?」
「ここは精神世界だ」
「誰の?」
「神の領域で秘密事だ」
「意味が分からないわ」
「だと思う」
「どういうことだ?」
そこに現れたのは、イコール。
兵隊は訝しそうな顔をした。
「君は?」
「アリスの恋人のイコール」
「なるほど。本当に時間がたっているんだな」
「アリス・・・大きくなって・・・今度は我々の首が飛ぶ番だ」
「どういうこと?」
「ここは女王の庭です」
「イカれた女王の?」
「はい。毎日誰かの首をはねないと気が済まない、ハートの女王の庭です」
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