第6話

羊皮紙の婚姻届にサインをしてお付きの方に渡すときらびやかな文箱の中にしまった。

「ありがとうサク。アル殿下、物分かりが良い聖女様で良かった。来た甲斐がある」

アルさまは終始面白くなさそうに真一文字に唇を結んでいた。

「きみにこれを贈るよ」

指輪をチェーンで通したネックレスをつけてくれた。

「俺もセドと呼んでいいからね。それと、第二皇子妃になったきみには護衛を一人つけることになる。敵国の者を入れたくないのは分かるが、きみを守るためだそこは分かって欲しい」

「はい。分かりましたセドリック殿下……いえ、セドさま。ひとつお聞きしたいことがあります」

「帝国は前の年に法律を改正して同性婚を認めた」

「あの、セドさま法律を改正したんですか?」

「サクと結婚するためには法律を変えるしかないだろ?両親も兄もきみのことを歓迎している。こんなにも謙虚で可愛らしい聖女様だ。さらに国を繁栄させてくれる。サク、先に子どもだけ作ろうか?なんなら今夜から……痛い」

アルさまが思いっきりセドさまの足を踏んだ。

「セドリック殿下、約束しましたよね?」

「冗談だよ。だからそんな怖い顔で睨まないで欲しいな」

この国の文字と言葉を猛勉強していて、帝国の文字が読めなかったことをあとで後悔することになろうとはこのときはまだ知らなかった。


「第二皇子は暇なんですか」

「嫌味を言わないで欲しいな」

「ちょくちょく来られても困ります」

「愛しい妻の顔くらい見にきてもいいだろう」

アルさまとセドさまは会うたびに口喧嘩がはじまる。

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